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プロモーター(女性) 2018-03-22
5年ほど前にこのOJTの事例を書かないかと依頼されたときは、まったく事例が思い浮かばず、お断りしました。
当時その理由としてあげたのは、
・その部署にはOJTという文化(?)がなく、OJTをされたこともしたこともないこと。
・そもそも非定型な企画業務なので、OJTできるような仕事ではないこと。
ということでした。今回あらためて原稿を書く気になったのは、「OJTは必要なのかもしれない」という気持ちが生じたからです。
詳しくは書けませんが、私は商品企画部で、雑貨小物のバイヤー兼プロモーターのような仕事をしていました。新商品を買い付け、それを世に出すためのプロモーションまでを手がけます。例えば消費者モニターやメディアへのプレスリリース、化粧品やアパレルとのコラボイベントなど、小規模ではありますが、買い付け商品を世に出すためにさまざまな活動を行います。それで見込みのある商品のみが、販売ルートに乗るのです。
私は入社当初に先輩からごく基本的なこと(出張旅費の切り方や経費精算、宅配便の出し方、パソコンの設定といったこと)を口頭で教わっただけで、あとは見よう見まねで仕事を覚えてきたと思います。
上司や先輩からはいつも「自分で考えて動け」と言われ、人に教わるという意識がありませんでした。
300人ほどの会社でしたが、他の部署に配属になった同期の話を聞くと、先輩がOJTリーダーとかトレーナーとかになって、面倒を見てくれる部署もあるようです。OJTという言葉も同期から聞いて初めて知りました。
同期が少しうらやましい反面、「私の仕事は非定型業務で、OJTができるような仕事じゃないから」と、そのことをどこか誇らしく思っている自分もいました。
商品企画は斬新なアイデアと実行力が求められる仕事です。
自由な雰囲気で、いろいろやらせてくれて楽しくはあったのですが、ルーズなところも多々あり、関連部署や取引先からは「ちゃんと引き継ぎしてくださいよ」と苦言を言われることもあったように思います。
あるとき、「来年から関連会社に出向に行ってもらうから、後輩の指導がてら仕事を引き継いでおいて」と言われました。2年間で戻ってこられるということで、その点は安心したのですが、指導と言われてもどうしていいかわかりません。
そこで、1つの商品について、買い付け先への同行、コラボ先への提案、イベントの設営・実施まで、1年近くかけて一通りの活動を後輩と一緒に行いました。また、それらにかかわる外部委託先の選定なども、一緒に話しあって進めました。
我ながら良いOJTができたのではないかと自負していました。
後輩のために一連のマニュアルも残しました。自分が出向後もぜひ今後の企画にいかしてほしい、そう思っていました。
それから2年間の出向を終え、私は約束通り古巣に戻りました。
しかし、当時と何だか様子が違っています。
一言でいうと、私がマニュアルに残したことは、何一つ守られていませんでした。
例えば、データや書類の保管場所も案件によってまちまちです。当時自分が係わっていた企画についても、例外ではありません。
「以前はこうじゃなかったよね。どうして変えたの?」と聞くと「そうでしたか?このほうがわかりやすいかなと思って」と返ってきます。
1年間、ずっと話しあいながら一緒にやってきたのに。マニュアルまで作ったのに。どうしてそうなるの?
私は混乱してしまいました。
外部委託先の業者もデザイナーさんも変わっていました。「以前一緒にやった○○の案件ではX社に依頼したよね。どうして変えたの?」
「あれ?そうでしたっけ」「一緒にExcelで比較検討表を作ったよね」「ああ......、そうでしたね。でもネットで調べたらよさそうだったので」
当時、委託先を選定するにも、各社と面談して見積りや提案の一覧表まで作って吟味したのに、そのこと自体を忘れていたとは......。ショックを通り越して怒りが湧いてきました。そんな私に後輩もやりにくさを感じたようです。
「もう2年前のことをいろいろ言われても......。商品も状況も違いますからね。それに先輩は何でも自分で考えて行動しろって言ってましたよね」
それはそうだけど......。でも何だか違う気がする。
結局、私なりに頑張ってきたことはムダだったのでしょうか。この先もこれでいいのでしょうか。自由といえば聞こえはいいけど、ロスが多すぎるし、部署としてのノウハウが積み重なっていないこの状況は、やはり問題ではないかと思うのです。
今回、記事を書いたのは、そんなモヤモヤした気持ちがあったからでした。
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