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IT職(女性) 2020-06-04
社会人として働いて4年目、今の会社は2度目の就職先です。まわりは年上ばかりで、先輩とは年齢が10年~20年も離れています。最初は、話が通じるのかななどと思っていましたが、それは杞憂でした。
年齢が離れれば離れるほど、コミュニケーションは難しいのだろうと思っていました。どちらかというと、年上の人には何となく反抗心もあり、自分が得意なITの領域においては、見下していたようなところもあります。
それは、前の会社の上司がパワハラで、先輩は逆ギレ、同僚は自分とはまったく価値観の異なる人達といったこともあったかと思います。
そうした中、まともなコミュニケーションは成立せず、毎日がバトルでした。従順にしていたら被害は少ないのですが、理不尽な要求が増えます。なので、人と話すときはファイティングポーズをとる、というのが私のクセになっていたようです。
今の会社に入社したときも、カウンター攻撃から入りました。
入社時研修レポートで会社の商品にケチをつけ、IT環境にダメ出しをし、分担の仕方には不満を言う。今思えば、いつクビになってもしかたがないような振る舞いだったと思います。せっかく入った会社なのに、なぜ自分に不利になるようなことをしてしまうのか、自分でもよくわかりません。
ただ、今思えば何となく「自分は受け入れられるのだろうか」という不安や、「この人達の本心はどうなのか」という疑いがあり、どこまで許容されるのかを試してみたかったというのもあったかもしれません。
また、期待させて後でがっかりされるよりは、マイナスから入ったほうが傷つかない、といった防衛の気持ちも多少はあったかもしれません。もちろん、もともとの性格もありますが。
今の会社のOJTリーダーをはじめ先輩達は、あまり感情的になることはありません。
なぜそんなに大人でいられるのか、年齢が離れているからか、いやそれなら前の会社の人だってそうです。これはいったいどうしたことでしょうか。
前の会社と大きく違うことは、今の会社にはOJT制度があることです。
「人に指導する」ためのツールが用意されていて、業務のマニュアルもありました。
そして、何より先輩達が訓練を受けていました。OJTを受けるときは、先輩が指導のための教材やマニュアルを準備して臨んでくれたので、安心感があります。
前の会社では、「自分のために時間を割いて教えてくれる」などということは皆無でしたので、衝撃でした。
とはいえ、OJTリーダーは私という後輩を持って、かなり悩み疲弊したであろうと想像します。でも、私は見捨てられませんでした。たぶん聞き捨てならないであう私の話を、先輩は最後まで辛抱強く聞いてくれました。かといって、ダメなところはちゃんと注意をしてくれます。
私は、こんなに自分が理解されている(良きにつけ悪しきにつけ)という感覚をもったのは初めてでした。もしかしたら私は受け入れられている、そのままでいても大丈夫なのかも、そう思えてきました。私は、そろりそろりとガードをゆるめていった気がします。
そうなると、先輩の言うことも素直に聞いてみる気になってきました。
OJTを受けて、目からウロコだったのは「日本語」です。私はプログラミング言語と英文メールには自信があります。正直、日本語なんて今さら学ぶ必要があるのか、と思っていましたが、全然できていなかったことに気づかされました。
入社するまでは「hi」で始まり「best regards」で終わるメールに慣れていた私は、「お世話になっております」で始まり「何卒よろしくお願いいたします」で終わるビジネスメールに四苦八苦しました。
文章の校正や言葉遣いの微妙なニュアンスも、いざとなると迷うことが多かったのです。母国語なのに......。でも先輩は呆れた顔も見せず、「こんなことも知らないの!」などとも言いませんでした。
このコロナ禍で、テレワークをする機会が増えました。
メール、チャット、ビデオ会議......。実際に会って話すとその場の空気で何となく伝わることがありますが、テレワークではそうはいきません。ますます言葉でのコミュニケーションが大切なのだなと痛感します。
もしかしたら、前の職場ではOJTがなかったことに加え、「話す・聞く」というコミュニケーションの基本の部分がおろそかになっていたのかもしれません。中にいると、そんなことには気づけませんでした。
思い込みというのはこわいものです。私は環境を変えたことで、自分の思い込みや自分の殻に気づきました。
転職という形ではなくても、これからますます職場環境も働き方も変わっていくのでしょう。それでも、人とのコミュニケーションは基本なのだと思います。
基本を大切に、そして時代に取り残されないよう、柔軟に常に自分をアップデートしていきたいと思います。また、職場環境もアップデートすべく、これからもどんどん意見を言っていきたいと思います。
また先輩を困らせるかもしれないけど、モノが言える環境に感謝しつつ。
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