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美容師のOJT

向き合って乗り越えろ

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美容師(男性)  2019-07-23

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向き合って乗り越えろ

美容室チェーンの店長をかれこれ10年以上務めている。エリアのトレーニングマネジャーも担当しているので、毎月行われるテストの評価担当もしている。

新人がカットを任せられるようになるまでは、早い人で2年、遅いと4年くらいかかる場合もある。
技術研修としては、1年目にシャンプー、カラー、ワインディング(頭髪にロッドを巻くこと )。2年目からカットで、毎月1回技能テストがあり、複数の拠点長が採点して合否を決定する。
カットの研修メニューは、ワンレン、グラデーション、ショートレイヤー、ロングレイヤー、ボブ、刈り上げの6項目。カットのテストの合間には、シャンプー、カラー、パーマのテストもある。
そのすべてで80点以上でないと合格できない。人によっては1つの項目だけで丸1年かかる人もいる。概ね2年間で修得できるよう構成されているプログラムだが、実際は平均3年くらいはかかっていると思う。

あるとき、1項目で4か月連続でテストに落ちた新人がいた。
連続4回落ちるというのは、本人にとっては確かにしんどいことかもしれないが、それはそんなに珍しいことではない。
しかしその新人は、4回目の不合格を告げたとたんに切れてしまった。
「なぜダメなんですか、このほうがずっとかっこいいじゃないですか!」と食い下がってきたのだ。
「かっこいいと思うかどうかは、あなたの主観に過ぎないでしょう。技術的な基準を満たしているかどうかを見ているんだよ。まず基本ができなければダメだ」
「トレンドってあるじゃないですか。結局かっこよくなきゃ意味ないでしょう。模範のカットよりも自分のカットのほうが、絶対いいと思うんですよ!」
などと、なんだかんだと反論してゆずらない。どこがどう悪いかを説明しても、まったく聞き入れる余地がない。揚げ句の果てにはテストの基準が古くさくてナンセンスだと批判してくる。

その新人のカットには、確かに斬新さはあった。美容の世界には、斬新な発想や型を破るアイデアだって必要だ。
しかしそれは守破離の「離」の段階のこと。まだ基本もできていないのに応用をしようとするのは、技術としては危うすぎて認められない。そんなことは誰でもわかりそうなことなのに、なんという頑なさか。
「とにかく不合格は不合格だ。まず基本ができていない内は何も言う資格はないよ。来月もう一度テストを受けるように」そう告げた。

新人は口をとがらせて、不満を露骨に表情に出していた。

問題はそういうところなのだ、と心の中で思った。どちらがかっこいいかなどという次元の話ではない。
美容師は接客業。お客さまあっての仕事だ。自分の意図に合わないことや理不尽な要求があったときでも、表情に出したり相手のせいにしたりするわけにはいかない。
「この子は持たないかもしれないな」そう感じた。

長年、新人の教育に携わってきて、確信を持っていることがある。
それは、うまくいかないときに、自分ができていないこと、ミスしたことにちゃんと向き合って、それを認めることができる人は伸びるということ。
早く合格すればいいというものではない。いや、むしろ不器用で何度も落ちる人のほうが自分に向き合う時間が長いだけ、その後の伸びシロが大きい気がする。

どんな世界でもそうだと思うけど、うまくいかないときに、自分の欠点や未熟さに向き合うのは誰だって辛いことだ。「自分には無理。向いていない」と言って諦めたり、「まわりが悪い」と責任転嫁するほうが、精神的にははるかに楽なのだ。
しかし、辛い現実を直視できる人は、今後何があってもきっと乗り越えていける。

新人くんは、このことをわかってくれるだろうか。

翌月のテストに、残念ながら彼は来なかった。他の店舗に転職したらしい。
自分の伝え方が足りなかったのか、とも思う。いや、こんなことで辞めるくらなら早い内に辞めてくれてよかった、という気持ちもある。
乗り越える機会を何度も与えることはできるが、でも乗り越えるかどうかは本人次第なのだ。残念だが、仕方ない。そう自分に言い聞かせている。


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