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会社員(男性) 2015-06-23
私は街の小さな不動産屋に勤務しています。
小さな不動産屋といえど、その街に密着した不動産屋ですので
入学シーズンや転勤のシーズンにもなると、お客さんで込み合い、お待たせしてしまうこともしばしば。
ただでさえ店員も少ない上に、お客さんも「住む場所」という重要な決定ですので真剣です。
カウンターで接客をしていると5分、10分と時間が過ぎるとともに明らかに順番待ちのお客さんもイライラがつのっているのが分かります。
貧乏ゆすりをしながらため息をついているお客さん。明らかに不機嫌そうにカウンターに視線を送るお客さん......。
ピンと張りつめた空気の中、私ともう一人のスタッフの空き室を探すキーボードの音だけが響いていました。
そんなとき、店長(65歳)がえびす顔で奥の打ち合わせ室からでてきて外にゆったりと出て行ってしまいました。
(え〜!!!なんでこんな時に外出!?)おそらくもう一人の店員もそう思っていたに違いありません。
数分後、店長は相変わらずのえびす顔で戻ってきました。
すると、お客さんたちに、
「お待たせしてごめんなさいねぇ。もう少しだから待っててもらえます?」と近所のスーパーで買ってきたばかりの個包装のクッキーやチョコレートを配りはじめました。
するとその瞬間、お客さんたちの表情が笑顔になったとともに、その場の空気が一気にふわっと軽くなった気がしました。
(すごい。すごすぎる......)
それだけでなく、カーネル・サンダースのようなかっぷくのよい体型と人懐っこい笑顔で順番待ちのお客さんと雑談に花をさかせてさえいます。
さすが地元に愛されて40年の不動産屋の店長。すでに新住民のハートをがっちりキャッチして(?)います。
「いやぁこれうちの猫ちゃんなんだけど可愛くてねぇ〜......」なんてお客さんに、プライベートな写真まで見せているし!
そんなこんなで、無事全員のお客さんをご案内することができました。
この店長、地元の子供たちにも結構人気があります。
店長の趣味で店内にグッピーを飼っており、店長の主な仕事の1つに、グッピーへのエサやりがあります。地元の小学生たちが学校帰りにこのグッピー目当てによく店内に入ってくるのですが、そんなとき店長は、小学生と一緒になって熱帯魚の話に興じていたりするのでした。
まるで子供のように夢中で話す店長に、私達はいつも「やれやれ、こっちは忙しいのに」という冷めた気持ちで見ていました。
でも、考えてみれば、この子供たちもいずれ住宅探しが必要になるかもしれません。今親交を深めておけば、将来のお客さんに......!?そんな思惑が果たしてこの店長にあるのかないのか、さっぱりわかりませんが、この独特なキャラクターは、確かに店そのものの個性であり、40年続いてきた1つの要因なのかもしれません。
ひょっとすると、相当なやり手なのかもしれない、勤めてから3年経ち、最近やっとそう思えるようになってきました。
この店長のやり方が果たして正解なのかどうかはわかりません。
でも、相手が小学生でも誰であっても自然に懐に入れて、張りつめた状況下でも笑顔で臨機応変に対応する、そういうところはすごいなぁと思うし、見習いたいところだと思います(でも、もうちょっとパソコン操作を覚えて、仕事をしっかりしてほしいと思うこともあります)。
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