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Webサイト制作/(男性) 2009-03-03
30歳にして営業職からマスコミの技術職へ転職した私に起こった、忘れられない出来事です。
私は、転職し新聞社の自社Webサイトを制作、運営する仕事に就きました。
私が担当した仕事は、自社の記者が書いて送ってきた記事や、通信社(*)から送られてくるニュースをもとにWebサイト上にニュースを掲載していくというものでした。Webサイトには多くの読者がおり、仕事にミスは許されません。間違ったニュースが世に出ることは、社内だけでなく多くの人に迷惑がかかるからです。また、記事の更新速度は非常に重要で、1分1秒でも早くニュースを世に出さなければならず、ゆっくり作業もしていられません。そのため、社内はピリピリした空気が流れており、雑談も許されないといった環境でした。そういった環境にいるせいか、上司や先輩方は会話もせず黙々と仕事をこなしていました。性格もおとなしい人が多く、まるで職人のような人たちだなあ、といった印象を受けました。
実際に働いてみると、上司や先輩方は無口ではありますが、皆いい人ばかりでした。
教育係の先輩は、私のためにわざわざ教育用に用意したマニュアルで手順に沿って丁寧に仕事を教えてくれました。びっくりしたのはマニュアルの量です。すべてのマニュアルを合計すると百科事典2、3冊分にもなるようなものでした。もともと電化製品などの取扱い説明書は一切読まない私は、読むのだけでも大変でこれからは生半可な仕事をするわけにはいかないなと思いました。
そして、仕事をするときには、もらったマニュアルを読みメモを書き加え、マニュアルを自分用に加工をして勉強をしていました。しかし、仕事の量は多く内容も複雑だったため、なかなか仕事の手順を覚えることができない私は、わからないことがあれば、その都度先輩に聞いていました。私としては、問題点を一つ一つ確認しながら、自分1人で悩まず他者のアドバイスも聞きながら仕事をしたほうが、効率的で正確な仕事ができるのでよいと考えていたためです。
入社3カ月ぐらいたった頃、私が何度も同じことを聞くので先輩から、
「1度教えたことは、2度聞くな。なぜ1度で覚えられないんだ!」と言われてしまいました。
あの優しい(おとなしい)先輩が、そんなことを言うなどと思っていなかったので、少しびっくりしました。私は、より正確なニュースを読者に届けるための最善の方法だと思い、コミュニケーションを取りながら仕事をしているつもりでした。
それなのに、そんな言い方はないんじゃないか!また、仕事を覚えられないのは経験がないんだからしょうがないじゃないか!と思ってしまいました。
しかし、よくよく考えてみると、それは単なる甘えでしかないと反省しました。先輩方は忙しい中、自分たちでマニュアルを作り、教育のため予習復習をしてきていました。私はそういった努力を理解せず(私も前職で後輩を教育してその大変さがわかっていたのに)、もらったマニュアル通りに作業をして、わからなければ白旗を挙げ、先輩を頼っていたことに気づきました。 先輩に聞くことで大きな責任から逃れ、重要な判断を先輩にゆだねていたのです。
以来、1度仕事で教わったことは必ずマニュアルやチェックリストを作り、問題があれば、都度更新するようになりました。自分でマニュアルを作ることによって理解力が格段にアップし、ミスを減らすことができました。経験がないからできないなんて、自分に対する言い訳だったのです。
この出来事を通して、「教わることと甘えることは違う。道は自分の力で切り開く」ということの重要性を実感し、自分が「チェンジ」できたのではないかと思っています。今後は、自分で責任を負いながら仕事をしていけるようになること、そして早く人に教えることもできるよう努力していきたいと思います。
*:通信社は自ら報道せず、収集したニュースを提携先の新聞社や放送局などに提供する。AP、ロイター、共同など
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