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大学生(女性) 2005-10-13
私は大学で水泳部に所属している水泳選手である。
それと同時に、自分の母校である高校の水泳部のコーチでもある。
つまり、大学の練習では部活のコーチに教わる立場であり、高校の練習では教え子である後輩たちに練習を教えるという立場にあるのであった。
とはいえ、今まで泳いできただけで、人の指導をしたことなどなかった上に、自分が泳ぐ上でもわからないことが多かった私は、高校のコーチを始めた当初、すごく不安で、
「こんなに、分からないことばかりで、コーチに聞いてばかりの自分にきちんと教えられるのだろうか?」
という思いでいっぱいだった。
だが、現役の選手ということで、確かにコーチとしての経験は少なく、プロのコーチほど教えられるわけではないが、逆にコーチに教わったことを、選手として受け止めて、選手としてカタチを変えて教えることができたのではないかと思う。
例えば、言葉では説明してもわかりにくいことも、その言葉を身体で感じとり、表現してきた自分ならば、身体を使って簡単に表現することができるのだ。
コーチの言葉を、身体で表し、言葉と身体で教える。つまり、私は"教わったこと"を"教わった側の視点"で"教える"ことができたのだ。
それによって、どのように教えるとわかりやすいか、わかりにくいか。また、一つの理論や方法にまた客観的な視点をプラスして教えることができたと思う。
また、選手としても"教える"ことによって、"教わったこと"を自分の中でかみ砕き、わかりやすく整理することで、改めて重要なことを再確認することができたり、高校生の悪い点を見て自分の悪いところを再確認したり、それが選手としての自分にとってもプラスになった。
人の振り見てわが振りなおせ というやつである。
他にも教えることで高校生に教わることもたくさんあった。
水泳の技術ではない心の力。
この春に水泳を始めたばかりの高校生からそれを学んだ。
「どうしても1分30秒をきりたいんです!」
意気揚々と言う彼女は、何度も挑戦しては失敗を繰り返し、それでもくじけずに、来る日も来る日もその目標を胸に頑張った。
そのシーズンの最後のレースで、1分28秒をたたき出した彼女の泣き笑いの笑顔は最高だった。そしてこう言った。
「次は1分25秒ですね!」
自分の出したいタイムに向けて、精一杯努力する姿勢。そして、その目標に対する情熱。速くなりたいという強い気持ち。これは18年も泳ぎ続けてきた自分の中では薄れていた初心だった。そしてコーチには教えることのできないものであった。
彼女のレースと笑顔を見ていて、彼女の言葉を聞いて、心が熱くなるのを感じた。自分も泳ぎたい気持ちでいっぱいになった。忘れていたものを思い出した。
「速くなりたい、もっともっと速くなりたい」
いつも同じ場所にいると忘れてしまうものもある。失ってしまうものもある。わからなくなってしまうものもある。それは確かなのだと思う。でも、思い出すこともできるものなのだ。
教えていたはずが教えられることもある。
そして、どんなに経験がなくても、技術がなくても、何かに真剣に取り組んでいれば、必ず教えることはできる。
常に"教える"側にたつ、"教わる"側にたつ。その方が効率的かもしれない。
しかし、常に"教える"し、"教わる"。そういう柔軟な姿勢でいたほうが、教わることも教えられることも増えるのではないかなと思った。
"教える""教わる"その二つは対称であるようで、実際は同じことなのではないだろうかと思う。
人は人生を通して、常に学び続けるのだ。成長を続けるのだ。常にすべての人から、すべてのことから教わって、教えるのだ。
教わることがない人はいないし、教えられることがない人も絶対いない。私も常に柔軟な姿勢で、教える、教わることにかかわっていきたいと思う。そして、常に成長を続けていきたい。
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