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メーカー教育担当(女性) 2003-02-20
来る日も来る日も、胃が痛くなるような日々が続いた。
それは、かつて私がスタッフ(実際には、単なる小間使い?)として数年勤務していた、社員教育を社業とする会社での出来事。小さいながらも自ら会社を興し、代表でありながら、1人で講師もこなすという"先生"の前で、私はいつも萎縮しドキドキしていた。
30歳を目前にしていたもののまともなビジネス経験もなく、仕事の基本や厳しさが全くわかっていなかった私は、先生にとって、"何とかしてあげなければならない存在"に映ったのだろう。
服の着こなし、立ち居振る舞いはもとより、言葉グセまで細かくチェックされた。約束の待ち合わせ時間に少しでも遅れようものなら、「私の時間を無駄にした」と叱られ、食事の仕方を見て、「育ちがわかる」とまで言われた。仕事のミスをすれば、このときとばかり普段の態度にまで言及され、「申し訳ありません」と泣いて謝るまで、他のスタッフの前で責められた。そして、必ず最後に「あなたのためを思って言っているのよ......」という駄目押しの言葉。この言葉ですべてが正当化され、いつも悪く、駄目なのは私になった。
ある日、私の知人が仕事で会社を訪れ、先生と話す機会があった。そして後日、彼に言われたこと。
「どうして、先生にあんなに気を使っているの?全然いつもの君らしくないよ。」彼にとっては、私を含めたスタッフの先生に対する態度が、不自然に映ったらしい。
「確かに、辛くて会社に行きたくないと思う日もあるけど、勉強になるし、仕事が終わった後の充実感をすごく感じる。」と私。
「それって、充実感じゃなくて、ただの開放感じゃないの?仕事を終えた後、ビールを飲んで"ウマイ!"と感じるのと同じだよ。」
この言葉が、先生のOJTに終わりを告げるきっかけとなった。
あれから数年が経ち、前職が功を奏したのか、私はあるメーカーで教育担当となった。先生から教えていただいたビジネスマナーや、仕事の基本をはじめさまざまなことが、現職に活きている。
何よりも大きいのは、新人や後輩との接し方。毎年入社してくる新入社員は、私にとって、まさに"何とかしてあげなければならない存在"だ。時には厳しく注意することもあるし、言い難いことを言わなければならないときもある。そのとき、いつも肝に銘じているのは、"感情に走らず、こちらも真剣勝負で"ということと、"正しいことを言うときには少し物腰を柔らかく、決して相手の逃げ道をふさがない"ということ。こちらの真剣さは相手に伝わるだろうし、物事は言い方ひとつで、相手の態度が従順にも反発にも変わる。
あのとき、先生の前でいつも萎縮していた私が、今ならどんな姿で先生に会えるだろうか......
堂々と毅然とした自分でありたいと思うし、それを裏付ける仕事をしていたいと思う日々である。
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