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インテリアデザイナー(男性) 2014-11-12
インテリアデザインの設計・施工をしている私が一度転職をしたときの話です。
転職といっても、前職と同じ住宅のインテリアデザインをやっている会社で、それまで勤めていた会社よりは規模が小さいものの、オシャレな雰囲気にも惹かれて入りました。
デザイン会社として忙しいときがあるのは珍しくないのですが、マンションのリノベーションをやっているこの会社では、物件の案内から、工事前の現場調査、設計、施工、現場管理、管理組合との折衝、そしてクライアントとの打ち合わせと、一通りの仕事をすべて一人で(しかも複数案件)担当しています。
以前の会社では部門ごとに担当分けがされていたのですが、すべてをやらなければならないことは目が回るほど大変で、それまでの部門以外のことにあまり詳しくなかった私は、仕事を覚えるのにも苦労をしました。
とにかく激務という言葉がぴったりの状況にはまってしまい、5年ほどの実務経験はあったものの、あまりの自分の仕事のできなさにかなり落ち込んだのを覚えています。
会社の規模が小さいので聞ける人も少なく、さらに上司となった人には質問をしても「任せるよ」「過去案件の資料を見てやって」としか答えてくれない、いわゆる「丸投げ」な上司でした。その上司も多忙だったので仕方なかったと思いますが、入ったばかりの私にとって、細かな指導を受けられない状況は大変不満な部分でした。
ですがある時、ふと吹っ切れることができました。
いつものように「任せる」と言われたときに「あ、自分の判断でやっていいんだ」と思うことができたのです。半ば「どうなってもいいんですね」という反感の気持ちもあったのですが、以前の仕事では担当分けのせいで他の部門との折衝があり(もちろん折衝は大切なことなのですが)、やりたいことがあってもいちいち伺いをたてたり、どんな小さいことでも自分の判断のみでは進めることができないことばかりで、なかなか自分の意見を持てず、自分が成長していないように感じていました。
それに対して"何でも自分で判断できる"という状況に気付けたときは、同時に仕事に責任を持たせてもらえたんだと思うこともでき、パッと視界が開けたような気分でした。少し実務経験があったのでそれも幸いしたのだと思います。
それからは、ほとんどのことを自分で判断し、上司には必要なことや決裁に関することだけを聞くのみで、湧き出る責任感とやる気で、ブルドーザーのように仕事をこなしていきました。
売り上げの数字も、自分が出した結果だとリアルに受け止めることができ、今まで経験したことのない達成感も得ることができました。そして、やっと自分はインテリアデザイナーだと自信を持って言えるようにもなりました。
丸投げだったことが幸いし、何事も自分で判断することができるようになった結果「間違っていたとしても自分の意見を持てる」と思えたのが一番大きかったことでした。
「丸投げ」というとマイナスなイメージにもなりそうですが、私の場合は得るものの方がとても大きく、すべてが悪い訳ではないかもと思った経験でした。
さて、上司がこんな効果を狙って丸投げしたとはとても思えませんが、今後自分に部下ができたときにはこの経験を生かし、丸投げにはならない程度に「仕事を任せる」ということを実践していければと思いながら、相変わらずせっせと忙しい日々を送っています。
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