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印刷会社 営業 2003-09-02
私は、新卒で商業印刷物のデザイン・制作会社に入社し、希望して本社営業部に配属されました。
この会社は、とにかく人の入れ替わりがはげしく、新卒採用も早い話が欠員補充だったのでしょう。私は入社式後、2日間の新入社員導入研修を受けた後、すぐにいくつかのお客さんを担当することになりました。
上司となった課長は、他の営業所の管理職も兼任していたため多忙で、配属されるとすぐに「自分でできることは、なるべく自分でやってくれ。」と宣言されてしまいました。
営業でバリバリやっていく意欲がありましたので「こんなに早く現場に出れるのか、頑張るぞ。」という気持ちもありましたが、実際にできることといえば、お客さんの所に行って原稿やデータを預かってくるようなお使い程度のことくらいです。
無理な納期とは知らずにお客さんに言われるがまま仕事を引き受けてきたり、細かい指示や疑問に気づかずに、そのまま次の工程に流すこともしばしば、そのたびに他の部署からは非難轟々です。
新人だから余計言いやすかったのでしょう、「お客に戻して来い!」と頭ごなしに言われることはしょっちゅうで、「お前は(お客のいいなりになる)犬だな!」とまで言われたことも。お客さんにも「今度の担当はレベルが低いなぁ」と呆れられる始末です。
しかし、私は元来お調子者の性格なので、「くそ、今に見てろよ!」と思うよりも、「まぁまぁ先輩、そんな冷たいこと言わないでくださいよ。」「新人なんでよろしくお願いしまーす」と気安い感じで接すると、先輩やお客さんも「しょうがねーなぁ」といろいろ教えてくれました。
そんな性格もあってか、周りの人たちもだんだんとかわいがって(?)くれるようになりました。
飲みに連れていってもらうこともしばしば、中にはわざわざ私の会社に手配までして、自分の会社の社員旅行に連れていってくれるお客さんまでいました。
それを見て上司も安心したのか、担当顧客はどんどん増えていきます。
半年も過ぎたころにはなんとか1人で仕事を回せるようになっていました。手形や小切手も扱い、接待もし、利益が出るような見積書を作り、いっぱしの営業になった気がしていました。
業界未経験の社員が中途入社すると、生意気にも手順を教えたりしていました。
しかし、私が担当していたお客さんは比較的小規模なところが多く、「今月はうちも苦しいんだよね」と、仕事をもらえず、目標を達成しないときがしょっちゅうありました。
営業部長はとかく目標数字にはうるさい人でしたので、目標未達のときは厳しく叱責されます。
最初の3〜4カ月は新人ということで大目に見られていましたが、担当を複数持つと、私もその対象です。月中の営業会議で「お前、あとどの位積み上げられんだよ?」と言われても、「あと○○万円ぐらいでしょうか。いやぁ、お客さんも仕事ないみたいで......」としか答えられません。
「あと○○万円なんて、電話1本かけりゃすむ数字だろ!お前営業だろ?」
そう言われても、目標を達成できないときは、「けっこう、目一杯やってるのになぁ」とか「運が悪かったなぁ」くらいにしか感じていませんでした。
たまにしか会わない上司や営業部長、他の部署の人は、日々忙しく動き回っている私を見ていましたし、自分自身でも一人前の営業になった気でいました。
しかしそれは与えられた仕事について、とりあえずこなせるようになっていただけで、場当たり的に仕事を処理していたに過ぎません。
自分で考えて行動をしたり、状況を打破できるだけの実力もなく、ただ周りの好意に甘えていただけでした。
質問をすれば周囲の人はいろいろなことを教えてくれましたが、それはその場の疑問の解消であり、その業界で通じる小手先の部分だけ覚えたに過ぎません。結局営業職として肝心な部分は身に付かなかった気がします。
また私が内向的な性格だった場合は、どうなっていたでしょうか?
実際、おとなしかった同期の営業は最初の夏休み後、すぐに退職してしまいました。
新入社員の時期の教育は、将来のキャリア形成に大きな影響を与えるといわれてます。
たしかにそこで得たものが大きければ大きいほど、成長できる度合いも大きいように思います。
実際にやりながら覚える仕事もあると思います。また「放っておいてもできるようになれば、結果オーライじゃない?」という声もあるかもしれません。
ただ、今考えると誰かにもっと営業としての「違う何か」を教えてほしかったなぁと思います。
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