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ナビゲート[の] 2021-11-24
キッチンの器具が老朽化してきたので、買い換えることになりました。
思わぬ出費は痛いのですが、どうせ買い換えるならよりいいものを、とうことで営業の人に相談し、候補はほぼ決まっていました。
しかし、やはり現物を見ないことには、そう思って週末に家人とショールームに行ったときの話です。
ショールームには、2人の接客員がいました。仮にAさんとBさんとしておきましょう。
目当ての器具はすでにAさんが接客中で、その対応の様子からベテラン社員だということがわかりました。
私達の対応をしてくれたのは、Bさんのほうです。年齢的にはAさんと同じくらいで、やはりベテランに見えました。
ひと通り説明してくれたのですが、それらはすでに承知のこと。
何しろこちらは買う前提で、パンフレットを熟読し、ネットであらゆる情報を調べ上げてきているわけです。ひと通りの説明だけでは満足できません。
家人にいたってはもう、製品のセールスができるのではないか、というレベルに仕上がっています。
高い買い物ですからね、あいまいな部分は残したくありません。
どうしても質問が具体的になります。
例えば他のメーカーとの違いや同一メーカーの下位機種との違いについて
「どう違うんですか?」とかではないのです。
「○○にはこう書いてあり、××にはこう書いてありましたが、△△以外の機能はすべて同じなのでは?」などといった具合です。まったくもってイヤな客ですね。
家人「結局、機能はほぼ変わらないってことですかね」
Bさん「はぁ、まぁそういうことになりますかねぇ......」→(正直な人です)
私「(ボソっと)こっちを買う意味あるのかなぁ」
独り言のように発した私の言葉に、これはまずいと察したBさん、
「すみません。私では説明が行き届きませんので、先輩にかわってもよろしいでしょうか」
と、先客の対応を終えたばかりのAさんを小走りで呼びにいきました。
『あ、先輩だったのね』とそこで上下関係をはじめて把握。
さて、ピンチヒッターA先輩の登場です。
まずBさんが簡単に事情を説明します。
「○○について、私ではうまく説明できず、お客さまも不安なご様子なので」
『心得た』とばかりにうなずいたAさん、満面の笑顔と流暢な対応で巻き返しにかかりました。きっとこのショールームのエースなのでしょうね。
こちらの立て続けの質問にも、明確に回答してくれて、徐々に不安なところは消えていきました。
その間、Bさんは、Aさんの横で私たちの対話にじっと耳を傾けていました。
Aさんの応対を一言も聞き漏らすまいとしている様子が伝わってきます。
場がなごんだところで、AさんはBさんを巻き込みました。
A「実はBは自宅で、○○メーカーの同位機種を使っていたんですよ」
私「へぇー、そうなんですか」
A「でも最近、△△に買い替えたんです。(Bさんを見て)ねぇ」
B「ああ、はぁ」と、照れ笑いするBさん。
私「そうなんですか、それはどういう理由からですか」
B「いえ、○○メーカーのものもとてもいいんです。特に不満はなかったんです。
ただ私自身がもともと料理にもこだわりはなくて、簡単に済ませたいという気持ちのほうが強くなってきたものですから、××なところにひかれて......」
私「それなら、私もそっち側です!」
結局Bさんの体験談からの流れで、私達は発注を決めました(という形になりました)。
このプロセスで、いくつか感心したことがありました。
もちろん、先輩Aさんの対応は見事でした。ただそれだけでなく、クロージングの場面でBさんに話をつなぎ、結局Bさんに花を持たせたことに感心しました。
そしてBさんです。説明は少し自信がなさそうでしたが、何と言っても正直さが伝わってきて好感が持てました。
それなりにキャリアも積んでいそうな人です。もしかするとAさんよりも年齢は上かもしれません。
中堅になると、ピンチになったときも何とか自分で挽回しようとして事態を悪化させてしまうことがあります。
しかしBさんは、ピンチの状況と自分の力量を客観的に察知し、先輩にバトンを渡すという最良の選択をとることができました。
さらに、その後の対応を側できいていた様子も印象をよくしました。きっと次はもっと自信を持って対応できるようになることでしょう。
よく、担当を交替した時点で、もう自分には関係ないといった態度をとる人がいますが、Bさんはそうではありませんでした。
自分ができないことに素直に向き合える人だなと感じました。一所懸命きいているかどうかって、外から見てもわかるものです。
Aさん、Bさんがこのようにスムーズな交替ができたのは、恐らく2人の関係性がいいからでしょう。よい職場、よいOJT、そしてよい買い物ができたと感じられた、ほのぼのとよい週末でした。
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