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元事務用品卸(女性) 2003-03-28
私が新人研修を終えて配属されたのは、経理課の売掛でした。
あのときは、不安よりもやる気や期待の方が大きかったのを覚えています。しかし、そんな前向きな気持ちは入社後1カ月と続きませんでした。
私が配属された職場には、課長と係長、その他に3人女性の先輩がいました。うち、2人は私たち新人の1つ年上、もう1人は5つ年上です。
初めのうちはみんな仲良く、明るく、楽しくと良いことづくめの職場に見えました。ここに配属された私はなんてラッキーなんだと思っていたくらいです。
でも、徐々に本性が見え始めたのです。
まず、1つ年上と5つ年上は、ものすごく仲が悪い。彼女たちのどちらかとトイレや給湯室でばったり会ったらもう、悪口のオンパレードです。
「あの人は○○だから気をつけな〜。」とか「あれで○○なんて信じられる?」などなど。 内容はほとんど覚えていないのですが、陰湿でドロドロ、怖かったことを覚えています。
彼女たちの仕事ぶりにも驚かされました。
1つ年上の先輩2人はほとんど一緒に行動します。すぐ近くの郵便局に行くのも一緒。そして1時間以上戻って来ないこともよくありました。 定時に帰るのはもちろん当たり前で、定時の10分前にはロッカーへ行き、制服の下にこっそりと私服を着ていることもあります。 チャイムと同時にダッシュというパターンがお決まりです。
気分屋な5つ上の先輩は、仕事をしているふりをして資料の下で漫画を読んでいたり、気づくと居眠りしていたり。
まだまだいろいろありましたが、こういった彼女たちの職場態度を上司が知らないはずがないのです。
しかし、係長である彼の注意は、「上が気づくとヤバイから、バレないようにやって。」といった具合です。 彼は彼女たちに嫌われたくないのです。嫌われれば仕事がしにくくなるのは目に見えてますし、敵に回すとやっかいなことになるとわかっていたのです。
彼の上司である課長もまた困り者でした。課長は他の課からも、うっとうしがられるほどのおしゃべり好き(近所によくいるおばさんのような)。よくよく聞いてもたいしたことは言ってないのに、話が長い。それを延々と聞いている係長。
会社ってこういうものなの?の疑問が大きくなっていきました。
先輩3人が珍しく意気投合しているときもあります。それは決まって会社の悪口を言っているときです。
「ここにいると社会復帰できなくなるよ〜。」「いるだけで損だって。」とか 「この会社絶対におかしいよ〜。」「ボーナスなんて寸志だよ。寸志。」などなど。悪口を言わせたらきっといくらでも出てくる勢いです。
新人にとって、年齢が近い先輩からのこういった話は印象深く「この会社に入社したことは失敗だったんだ......」と不安が大きくなったものです。
結局私が入社してから1年も経たないうちに、1つ年上の先輩は「早く辞めた方がいいよ!」を捨てぜりふに2人そろって辞めていき、 その半年後くらいには5つ年上の先輩も辞めていきました。
先輩たちに気を使う日々から開放されて自由の身になったわけですが、まだ入社1年たらずで、先輩が1人もいなくなってしまった職場というのも疑問です。
その要因を考えてみると、
<仕事量に対して社員が多すぎたため、暇になる時間が多かった>
暇になると時間が経つのが遅く感じます。そして眠くなります。 また、嫌いと思っている人の行動がいちいち目に付いてイライラします。
<新人も5つ上も仕事内容にさほど差がない>
5年後にはあんなすごい仕事ができるんだ、とか何年か後にはあの人のように仕事をこなしたい、といった気分になれません。
<上司にまとめる力がない>
部下に何を言われるかわからないし、仕事がやりにくくなるんだったらここは穏便に、という具合で問題が解決していきません。
<仕事が単調でつまらない>
毎日同じ仕事のため自分が機械の一部になってしまったような感覚になり、飽きてしまいます。
と、いくつか職場環境についての不満がありました。
私が新人として入った職場は、不平、不満、陰湿ばかりで人がなかなか育たない職場だったな、としみじみと思います。 この環境で仕事に熱中することにも限界があるのかもしれません。 でも先輩社員の意欲を損なう言動がなければ職場に対する意識が変わっていたかも......、とも思います。
上司だけ、先輩だけが新人に対応するのではなく、職場全体でかもしだす雰囲気によって、新人のやる気は損なわれたり、ふくらんでいったりするはずです。
良い環境で仕事を覚えた新人は、きっと自分が先輩の立場になったときに自信を持って後輩を育てていけるのではないでしょうか。
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