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編集業(女性) 2016-08-16
某出版社で働いていたときのことです。
私は、編集部で主に画集や写真集などアート作品と呼ばれる分野の制作を担当していました。
転職後まず与えられた仕事は、退職予定の先輩Aさんからの引き継ぎの原稿でした。
著者によっては、制作途中で原稿の書き直しをされることも多く、なかなか作品が仕上がらず制作が中断することも少なくありません。私が引き継いだ原稿も、そのような状態でした。
一方で新規の著者からの原稿も担当することとなり、いつ動くかわからない原稿よりは、目の前にある原稿をとにかく進めていくことに注力しました。
そして半年ほど過ぎ仕事にも慣れてきたころ、原稿の書き直し中の著者から「やっと原稿が出来ました」と連絡があり、ふたたび制作を再開することとなりました。それは、手書きのイラスト作品で画集にする予定となっているものでした。私が引き継いだときは、すでに初校が上がっている段階で、初校確認後、数枚原稿を書き直したいということになり、原稿まちとなっていたのです。
著者から差し換え原画だけが送られてきたとき、他の原画がどこにあるのか気になりました。
原画について、すでに退職したAさんからはとくに説明もなく、てっきり著者のもとにすべて原画を返送しているものだと思っていましたが、どうやら違っていたようです。
初校で割り付けている画像は、あくまでもアタリ(仮)のもので、入稿時には原画が必要になりますし、大事な原画が紛失してしまったとなると大問題です。
もしかしたら、他の著者の原稿に混ざってしまったのではないかと思い、担当している原稿を念入りに探します。しかし、まったく見つかりません。
焦ってすぐにB先輩に状況を相談したところ、もしかすると外注のデザイン会社のもとにあるかもしれないと言われ、さっそく外注のデザイン会社に連絡をとってみました。しかし、そのデザインを担当された方は、すでに退職されているというのです。デザイン会社の方いわく「これまでも何度かデザインをさせてもらいましたが、いつも原画はお返ししていますよ」とのことでした。
「そうでしたか......。でもこちららも何度探しても見当たらなくて、もう一度御社でも探していただけないでしょうか」と言ってみるものの、あまり期待はできそうにありませんでした。
落ち込んでいる私に、B先輩からこんなことを言われました。
「今回の件は、引き継ぎモレが問題だけど、誰だってミスをすることはある。大事なのは、ミスをした後、どれだけ冷静に状況を見ながら誠意を持って対応できるかだと思うよ。まだできることはないか考えてみて」
その言葉を受けて、まだあきらめてはいけないんだと思いました。
自分にできることは、もう一度しっかり探すこと。そして最悪、しっかりとお詫びの言葉を著者に伝えることだと思っていたとき、外注のデザイン会社から連絡がありました。
「探されている原画らしきものが、見つかりました。確認しに来てもらえますか?」とのこと。
急いで確認しに行くと、それは、まさにその原画だったのです。
「ありがとうございます。見つかって本当に本当に助かりました!」
「退職者の引き継ぎができておらず、申し訳ございませんでした」
「こちらも同じく引き継ぎが不十分で申し訳ございませんでした」
そうしてようやく原画がそろい、画集を無事に仕上げることができました。
著者にも不信感を与えずに済み、満足してもらえることができ安心しました。
今回の体験をもとに、引き継ぎは非常に重要だということ、またミスがあったときには、B先輩の言葉を思い出し自分を奮い立たせています。
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