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大学院生(女性) 2008-06-24
「やる気」ってなんでしょう。前向きな姿勢、みたいなものでしょうか。「ガッツ」とか「ハングリー精神」とかいうと、さらにガツガツした強い欲望を感じさせます。やる気とは、そういう積極的なエネルギーのことだと思います。
小学生くらいの頃から、学校で「勉強はやる気が大事」とよく耳にしてきました。そりゃ当然だろうと内心思いつつも、「やる気なんて出せって言われて出るもんじゃないよねー」と学友とぼやいたのを覚えています。
大人になるにつれて、やる気の出ない仕事や家事についても、目をつぶって手だけ動かすことができるようになってきました。とはいえ、天気が悪かったり相手が悪かったりすると、途端にやる気が失せることもあります。逆に嫌だと思ったはずが頑張れてしまう例もあるので、どうにかバランスを取って日々のサイクルを回しているところです。
さて、最近味わった「やる気出ない」仕事......
それはまさに、「やる気のない子に教える」でした。
家庭教師です。近所の坊ちゃん(中学1年生)に、英語と数学を教えることになりました。彼の親はエリートコースを歩ませたいらしく、中学受験で私立の男子校に合格させ、早いうちから家庭教師をつけて周囲に差をつける計画のようでした。
私自身は勉強に熱いやる気を感じるタイプで、これまで勉強方法を工夫してきました。また、弟妹が多く、教えることに慣れているつもりだったのです。家庭教師のバイトなら向いている方だと信じてスタートしました。
しかしいざ授業が始まってみると、この坊ちゃんは椅子にのけぞり「もう嫌だ〜」「わからん!」「なんでこんなことしなあかんの?」「勉強なんか意味ねえ〜」と不平たらたら。まだ5分だぜ!?とあきれる私の横で教科書に上体を投げ出し、チラッチラッと横目でこちらをうかがっています。こいつ、(年上のお姉さんに)しかられたくてやってんのか......。
しばらく駄々をこねてこちらが食いついてこないとわかると、口をとがらせて「先生なんで怒んないのォ〜?」「怒れば〜」とか言われます。彼の自己アピールが一段落するのを待つ間、私の一次方程式を説明する気はものすごい勢いで失せていきました。
......しかししかるのも面倒だし、そもそも「怒り」は感じません。「どうしてもやる気が出ない」という状態にはもちろん共感できます。勉強なんかキライ!という子は勉強しないで好きなことを見つけた方がいいと思います。
そこで彼のおふざけには一切関与せず、「確かに君にやる気がないのはわかった」「しかし私もお母さんに頼まれて来ているのだから勉強してもらわなきゃ困る」「勉強もやってみれば楽しい・面白い・興味深いものだよ」などと正攻法で説得を試みました。坊ちゃんも反論はできない様子でしたが、約束の2時間が終わるまでのろのろと英単語の書き取りをして、ほとんど何も教えないうちに日が過ぎていきました。
この指導内容じゃお金はもらえないな......と思いつつも、まあ、2時間なら2時間拘束されたのだからと考え直して、結局3カ月ほどバイトしました。しかしその間も「早くクビにならないかなあ」と、非常にやる気のない考えを抱いていました。そして実際クビになりました。
よく「お子さんのやる気を引き出します!」という家庭教師の広告があります。家庭教師の役割の中には「やる気」のコントロールが含まれるのでしょう。ビシバシと鞭打ってから甘いアメをなめさせたり、友達感覚の親しみやすさを培ってから指導したり......おそらく「やる気ないやつはしなくていい」という私のようなスタンスでは甘かったのです。さらに、相手のやる気のなさにやる気をそがれてしまった私は、家庭教師失格!
その後、その坊ちゃんは家庭教師や塾抜きでも好成績を維持していると聞きました。彼のやる気の源は、「テストで取った点数分、親から現金がもらえる」だそうです。親御さんも彼に適したやる気のコントロール法を身に付けたわけですね。確かにガツガツしてる。しかし家庭教師失格となった私にとっては、「何をもらっても勉強なんてやる気がしない」「そのかわり、ものすごくやる気を感じて打ち込めるものがある」子の方が、共感できるのですが。
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