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元スパのフロントリーダー(女性) 2008-10-16
以前私が女性専用のスパ&ホテルで働いていたときのことです。
そのホテルは全国に支店がいくつかあり、会社自体は大きな会社でしたが、女性専用のスパがあるのは私が働いていたところだけでした。
女性専用ですから、深夜のフロントに男性スタッフが1〜2人入るぐらいで、従業員のほとんどが女性でした。 もちろん上司も女性。部下も女性。
女性社会の部署でしたが、スタッフ同士が考え方の違いで大きくぶつかることもなく、むしろ団結力が強く相談もしやすい環境でした。そんな中で私は教育担当をしており、新しく入った社員やバイトの人たちに仕事を教えるほか、物資の発注や上司とやり取りをする立場にいました。
しかし、あるとき急に上司が男性に代わることになりました。
どうやらその男性は自ら「俺が売上を上げてやる」と志願し、異動されてきたようです。(以下男性上司をAさんと書きます。)
Aさんは、ずっとレストラン部門で働いて上に上がってきた人なので、フロントなどの接客業務は全くと言っていいほどわからない人でした。もちろんスパで働いていた経験もありません。
ですが、Aさんは他の部署での実績から、かなりの自信があったようで、スタッフの意見にはまったく耳を傾けようとしませんでした。
むしろ自分に逆らうスタッフには「いつでも辞めていい」と、大喧嘩になる始末。
しばらくすると、Aさんのワンマンぶりについていけないスタッフが毎月1人ずつ辞めていき、その分残ったスタッフは遅くまで汗だくになりながら走り回るという日々が続きました。
あえて喧嘩を売りにAさんに意見を言ったわけでもないのに、Aさんの思い通りにならないスタッフはすぐに辞めさせてしまうので、次第に私たちは何も意見が言えない状況になってしまいました。
しかし、そんなAさんには数名お気に入りのスタッフがいて、そのスタッフの言うことだけは多少耳を傾けました。私はいつも何も言わずに我慢して仕事をしていたので、いつの間にかお気に入りの1人になっていたようです。
そうなると、Aさんから他のスタッフの悪口や、辞めていった人たちの悪口をよく聞かされるようになりうんざりしたものです。
今思えば、おそらくAさんは自分に同意してくれる人を探していたのではないかと思います。やる気があるのにうまくいかない。きっとそんなことにストレスがたまっていたのでしょう。
気に入られたスタッフたちは、Aさんにいろいろとアドバイスをしました。Aさんも多少は自分が空回りをしていることに気がつくこともありました。しかし、やる気満々に男性中心の仕事場から異動してきただけに、女性スタッフをどう育てればいいのかわからず、結果自分の意見を押し付ける形になってしまっていたようです。さらに、Aさんは人に意見を言われることに慣れていなかったのか、自分の意思や仕事の仕方を変えることができませんでした。
私はよくAさんとスタッフの間に挟まれることが多かったのですが、Aさんは、どうしても男性優位な考え方になりがちで、女性が働きやすい環境を考えられず、スタッフをいたわる気持ちが感じられませんでした。それを解決するためにあれこれ考えた私は疲れ切ってしまい、徐々に退社することを考えるようになりました。
この職場で働いている期間に、私の祖母が亡くなりました。
そのときも忌引きとはいえ、スタッフが少なく仕事を休むのも皆に申し訳ない気持ちでいっぱいの私を、スタッフの皆は逆に心配してくれて、快く仕事を休ませてくれたのです。
しかし、Aさんが私に最初に言った一言は、
「両親が死んだなら忌引きは2日だけど、祖父祖母や親戚は1日しか忌引きは使えないから、どうしても2日休みたいなら有給を使ってくれ」
と一言も心配するような言葉はありませんでした。
むしろ私がいない間、どうしたらいいんだ......と不安な発言を続けて聞かされたのです。
私はAさんのこの言葉でようやく辞める決心がつきました。
人の悲しみや苦しみ、悔しい気持ちを察することも出来ない上司が、どうしてスタッフを育てることが出来るのか、また理解できるのか。
Aさんが頑張っていることは多分スタッフ全員がわかっていたと思います。しかし、言葉の節々に優しさや思いやりの欠片を感じることは難しく、どうしても納得できないことが多かったのが事実です。
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