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株式会社 総合企画 窪寺 悟 2003-03-12
某大手宅配会社でアルバイトをしていたときの体験談です。
仕事の内容は、配達員の集荷してきた荷物を地域別に振り分ける、いわゆる仕分け作業でした。
集荷してくる荷物の中には、梱包されずに集荷されてくる物もあります。
それらは出荷するために、《集荷した配達員が梱包をする》という決まりになっていました。
ある日、むき出しの布団が集荷されてきたときのことです。
Aさんという配達員が私に梱包をお願いしに来たのです。
「○○君、本当は俺がしないといけないんだけど、この布団を梱包して出荷しておいてくれないかな?すぐに配達に出なければならないんだ。」
私は快く引き受けました。
そしてAさんは、忙しいのにわざわざ私へ梱包の方法を指示し、それから急いで配達に出かけていきました。
その後Aさんが配達先から帰社し、事務所で伝票処理をしているところに私が入っていくと、
「○○君、さっきはありがと!助かったよー。これでも飲んで。」
と、温かいコーヒーを差し出してくれました。
見返りなど期待していたわけではなかったので、喜んで受け取り、気分良くその日の仕事を終えることができました。
あくる日、仕分け作業をいつもどおりに行っていると、今度はBさんという配達員が集荷から帰り、同じように梱包されていない布団を集荷してきました。
そして、
「○○君、この布団梱包してくれないかな?」
「はい!わかりました。」
私が調子よく返事をした直後、
「はい、120円。これでやってくれるんでしょ。頼んだよ。」
「......」
先日のAさんとのやりとりを見ていたらしく、
「○○君はジュース1本で梱包をやってくれる」と、認識されていたのです。
その後、Bさんはそのまま自分の仕事を片付け、早々に家路に着いたようでした。
2人の対応を振り返ると、
Aさんは、自分がどうして梱包を頼んだのか事情を話し、しかもどう梱包をしてほしいのか、忙しいのに指示までしてくれています。
一方Bさんは、面倒な仕事があったら、少しの見返りを渡せばやってくれる人へ頼んでしまおう、というスタンスです。
明らかに見返りを期待している人にはBさんの行動でも良いのかもしれません。でもそのときの私には、すごくショッキングで、お金をもらって悪い気分になることがあるなんて、そのときまでは思ってもみませんでした。
私はAさんの行動を見て、上の立場にある人はこうでないと、としみじみ感じました。
卒業し、会社に勤めるようになり、仕事上いろいろ頼んだり、頼まれたりします。
そういうとき、いつも頭の中にこのことが思い出されます。
そして他人には同じような思いをさせたくない、と思い、人に何かをお願いするときは、なぜあなたに頼んだのか、そしてどうしてもらいたいのかを、自分の言葉でしっかりと伝えるように心がけています。
新人教育や社内での上下関係はさまざまですし、人によって感じ方も違ってくるものでしょう。
でも、1人の大人として、理性と秩序のある行動を取れば、誰でもついてきてくれるものだと思っています。
今後もいろいろな人との付き合いがあると思いますが、誰にでも同じような対応ができるように心がけていきたいと思います。tao
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