メッセージ
もっと豊かで、明るく、楽しい未来社会を夢みて 2001年新春のご挨拶
更新 2001.01.02（作成 2001.01.02）
私の幼年期のヒーローは、鉄腕アトムでした。
アトムが活躍した社会は、21世紀という未来社会でした。科学技術が高度に発達したというだけでなく、公害もなくなり、ロボットの権利まで認められた民主的な社会として描かれていました。
その21世紀が本当にやってきてしまいました。
私が子供ながらにあこがれた社会はまだ実現していませんが、科学技術の面ではかなり近づきつつあるようです。しかし一方で社会全体をみると、20世紀の負の遺産をたくさん背負ったままで、まだ混沌として先が見えない状況のように感じます。
21世紀の社会、とりわけ私たちが関係する経営や組織はどのような方向に進むのでしょうか。そこで必要とされる人材はどういうタイプの人たちで、企業はそれをどのように育成していこうとするのでしょうか。
それらについて、すでにたくさんの予測が出されています。その多くは、情報技術の発展、グローバルな競争、業界などの垣根を超えた競争、スピードアップ、スリムな組織、高度なコンピテンシーをもった人材の要求、人材の流動化、成果主義による収入価格差の拡大…、などのキーワードで語られているようです。しかしそのどれも、私たちにとって有益な示唆を与えてくれているようには感じられません。
いたずらに危機感をあおるのでなく、むやみに人々を追い込むのでなく、もっと豊かで、明るく、楽しい未来社会を思い描きたいものです。排他的な競争に人々を追い込むのでなく、こんな社会を実現したよね、という理想にむかってみんなで切磋琢磨していくことが、今こそ必要なんだと思います。
私たちナビゲートが実現したい21世紀の社会は、人々が豊かな職業人生を送れる社会です。誰もがもっとのびのびと働くことができる社会です。男性も女性も、中高齢者も若い人も、自分の仕事にやりがいを感じ、達成感を味わえるような社会です。
会社や上長の方針がどんなにおかしいと感じても、自分の意見を押し殺して頭をたれているほうが得というような社会は、もう終わらせないといけません。
中高年層で常にリストラの不安を抱きながら働かなければならない社会は、もう終わらせないといけません。
女性というだけの理由で、仕事のチャンスが与えられなかったり、正当に評価されない社会は、もう終わらせないといけません。
年をとってるという理由で身につけた技能を活かす場が与えられなかったり、若いという理由で正当な報酬が得られないような社会は、もう終わらせないといけません。
そして、誰もが自分の興味と能力や適性に応じて職業を選択でき、個性を発揮でき、自分で選択した仕事に打ち込め、その仕事の価値に応じて正当な報酬を得ることができる社会をつくっていきたいと思います。
誰もがもっとのびのびと働くことができる社会。
そのためには、社会システム全体が変わっていかないといけないかもしれません。また何より、男女観、就業観、人生観といった人々の価値観も変わっていかなければなりません。そしてもう一つ、働いている人や仕事に就きたいと思っている人の学習環境を、今よりもぐっと改善していく必要があります。
今の仕事でもっとレベルをあげたいと思ったとき、新しい仕事に就くために何かを身につけようとするとき、今よりももっと手軽に学習できる環境が必要です。何かを知りたい、わかりたい、学びたいと思ったとき、すぐに学べる環境や道具が準備されているべきだと思います。
はじめての仕事を覚えるためのプロセスは、もっと早く、効率よく進めることができるようにする必要があります。学習する内容は、もっとわかりやすく工夫されているべきだと思います。
新しい分野にチャレンジするときには、何から学べばいいかが整理されていて、学習初期段階での無駄や苦痛のない状況にしていく必要があります。
ステップアップしたり関連分野を学習するときには、過去に学んだことを無駄にせず活かせるようなしくみが必要です。
そして学ぼうとする教材や講師による教授内容は、学習する本人のレベルにあった内容になっていることが何よりも大切だと思います。
私たちのナビゲートという会社は、小さく、影響力もなく、資金もありませんが、このような理想的な学習環境を実現するためのアイデアはたくさん持っています。21世紀の最初の20年くらいかかってしまうかもしれませんが、そのアイデアを一つひとつ現実のサービスや商品として実現していきたいと考えています。
2001年元旦 代表取締役 伊藤 弘二朗
