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人事部門が行う準備:前編

公開日:2024年01月09日

新入社員のOJTにおいて、人事部門が行う準備の中心は、OJTのしくみを整備することです。今回は、OJTのしくみを整備するうえで参考にしてほしいことを2回に分けて解説します。

まず、OJTのしくみは、新入社員をどの部署に配属しても一定のレベルの指導がなされるようにすることを目的としています。
特別なしくみがなくても新入社員を熱心に指導する部署もあるかもしれませんが、何もないと部署側の負担も大きいですし、部署によるバラつきも生じやすいと思います。
そこで、OJTの基本的な枠組みや共通して使えるツールは人事部門で一括して整備し、提供するようにしましょう。そうするほうが会社全体としても効率もよく、OJTの実施率も高くなります。


OJTのしくの整備

新入社員のOJTのオーソドックスなしくみは、以下のとおりです。


目的

  1. 新入社員の指導・教育
    (1)定着化と早期戦力化
    (2)将来の成長のための土台づくり
  2. OJTリーダーとなる中堅・若手社員の成長
期間
  • 1年間(翌年3月末まで)
役割分担
  1. 所属長(新入社員の直属上司):育成責任者
  2. OJTリーダー:OJTの推進担当者(所属長の代行者)
  3. その他の職場メンバー:指導項目ごとの指導担当者・協力者
主な指導内容
  • 社会人、企業人としての基本行動(職場生活を含む)
  • 担当業務で必要な知識・技能
  • その他、将来の成長に資する幅広い知識・技能など
管理帳票
  1. OJT計画シート類(複数種類の場合あり)
  2. OJT実施報告書(計画シートと兼ねる場合あり)
その他提供ツール
  • OJTマニュアル
  • 日誌等
  • 指導用教材
  • 業務マニュアル

実際には企業によって整っていない場合もあれば、アレンジが加わる場合もあります。
管理帳票としては、OJTの計画と進捗確認ができるシートを1枚準備すれば、進めることは可能です。
ただし、OJTの実施状況を高めようと思えば、計画シートなどの管理帳票の構成や、活用方法などに工夫が必要になります。
管理帳票や記録ツールなどを提供したら、その提出の要否、提出サイクルなども決めておくようにしましょう。


OJTで用いるツール

OJTのツールには、以下のようなものがあります。


OJTマニュアル 指導マニュアル・OJTの手順書
OJTの進め方、管理帳票の記入方法、新入社員への指導の仕方や関わり方などを解説したもの
日誌等 新入社員が、毎日の指導や業務について記録するもの
OJTリーダーや所属長との対話ツールとして用いる
指導用教材 全職種共通の指導教材(人事部門提供)
マナー、基本行動、ビジネス基本スキル、規程類など
業務マニュアル 各部門、職種ごとの仕事のマニュアル(部門・職種ごとに準備)
指導する際の教材となる

ツールは揃っていたほうが各部屋での負担も減り、実際の指導も充実します。
OJTリーダーとなる中堅・若手社員は、指導経験が多いわけではありません。そのため、混乱なくOJTを進めるには、OJTのマニュアルがあるほうがよいでしょう。
しかし、OJTリーダーは通常の業務を持っているため、読んだり書いたりすることが多いと活用されないかもしれません。 そのため、OJTがスタートするまでには手軽に要点がわかり、問題が生じたときなどには役立つ情報が見つかるといったマニュアルのつくりが望ましいでしょう。
そうしたマニュアルやツールを自社で開発するのが難しい場合は、教育機関が提供する汎用ツールを活用したり、OJTリーダーの養成研修を実施したりという方法もあります。

*弊社教材『OJT実践ノート』もぜひお役立てください。


その他、「OJTリーダーの養成研修」「配属部署への案内」については、次回、解説したいと思います。

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