公開日:2020年09月02日
前回、リモートワークでのOJTのために、新人が質問を書き留めるツールを用意することをお勧めしましたので、それについて解説したいと思います。
このツールとは、新人が思いたったときに文字や図を手軽に書き留めることができるものがよいでしょう。
オンラインで共有するとなるとハードルがあがる(書くことを躊躇する)ので、アナログな普通のノートで十分です。アナログなノートは、書き込みが増えて使用感がでてくると達成感も得られるので、孤独な環境の支えにもなると思います。
さてノート(質問リスト)は提出させても提出させなくてもかまいませんが、OJTとしては以下の観点から観察(確認)してください。
質問や疑問にこたえることよりも、その質問をきっかけとして対話を行い、新人の様子を把握することが大切です。
量が少ない場合は、以下のような理由が考えられます。
そもそも、質問を言葉にして書くには、それなりに頭の中が整理されている必要があります。よくわからないけど、聞きたいことが何なのかもぼんやりしている、という状態も多いものです。
リストアップされる量が少ないなと思ったら、OJT リーダーのほうから適宜水を向けるようにしましょう。
例えば会議(Web会議でも)を終えたときに声をかけ、「今日の○○という話については、理解できた?」とか「この作業はどうして必要なんだと思う?」など、逆に質問を向けて、"考える"視点を教えるようにしましょう。そうすることで、自分から疑問がわくように道をつけます。ただし詰問にならないように注意すること。
また、質問リストは、新人にいろいろな人とかかわらせるという点でも使えます。
すべてを OJTリーダーが答えるのでなく、「それについては○○さんが詳しいから聞いてみて」などと教えることによって、他のメンバーとの交流を促すことができ、また、困ったときに誰に聞いたらよいかを新人が理解できるようになります。
さらに、新人が自分で調べられそうなものについては、OJTリーダーは直接答えを教えるのでなく、調べる方法をアドバイスします。ただし、誰にも聞かず、すべてを自分で調べるのがよいかというと、そうとは限りません。程度の問題です。
聞けばすぐに済むようなことを、長い時間をかけてネットで検索しているのは、会社として非効率です。またテレワークの場合は、ピント外れな方法のまま作業を行っていても、それに気づきにくくなります。
自分で調べるというのはもちろん大切なことなのですが、人に聞くのはエネルギーがいることですから、単にその煩わしさを避けているという場合も考えられます。
そこで、人に聞いて解決している割合と、自分で解決している割合がほどよくなっていることを確認してください。
仕事を円滑に進めるうえでは、"聞くべきときに適切に聞く"ことも大切な能力です。
これは、何でもやたらとチャットで聞く、というのとは違います。
一概には言えませんが、
という傾向も考えられますので、「適切に聞く」習慣をつけることが大事です。
それには、トレーナーの側も、
この3つを意識してください。
そのうえで、質問リストなどのツールを使うことで、対話の機会を増やしていきましょう。
*当社の『OJT新人ノート』にも「疑問・質問リスト」というコーナーがありますが、実際に新人が書いたリストのうち、職場の基本行動についての質問をご紹介します。