No.96
特別企画:研修の現場から
ナビゲート通信 No.96(特別号)
特別企画:研修の現場から 2010.10.13
今回は特別企画として、2010年度上期から下期にかけて、
弊社の顧客企業からいただいたお問い合わせやご要望を振り返り、
最近の企業内研修でどんな教育ニーズがあるかを考察してみたいと思います。
【1】お問い合わせの傾向や各社の状況
■弊社への研修のご依頼状況から
人材関連ビジネスの需要動向は、世間の景気動向から半年から1年ほど遅れて影響があらわれるといわれています。
弊社の研修へのご依頼状況も2008年「リーマンショック」直後から2009年上期までは堅調に推移しましたが、2009年10月以降、お問い合わせ件数が急激に減少してしまいました。
企業全体でコスト削減に取り組む中で、研修の実施本数削減、不急の研修の延期、社内講師による実施や他の教育手段への切替えなどが進んでいたようです。
幸い、弊社の研修は残していただけることが多くありましたが、それでも実施本数は減り、「細く長く続けていきましょう」といったお話を頂戴することもありました。
一部には「2010年度はこれまでの研修や採用のあり方を見直す期間」と位置づけられた企業もあったようで、2011年度から改めて本格的に研修を再開するとして、計画中の企業もあります。
メーカー系の顧客企業では、「ピーク時の8割から9割程度まで生産が回復した」という声が最も多く、中には「過去最大の生産量」「過去最高益」という企業も出てきています。
そうした業績の推移と連動するかのように、弊社へのお問い合わせ件数も回復傾向となってきました。
■分野別の教育ニーズ
▽新入社員の教育では
今年、新入社員を採用できた企業では、OJTに力を入れているところが多いようです。
全般に新入社員の採用人数が縮小傾向にあるなか、「今年の新人はなかなか優秀だ」という担当者の声が非常に多かったようです。
採用が売り手市場から買い手市場に変化してきたことで、「応募者多数で採用を厳選できたため、ターゲットとする人材が採用できた」「人材は欲しいが、迷うレベルであれば無理してま
では採用しない」こともその要因かもしれません。
とはいえ、厳しい経済環境のなか採用した新入社員ですので、
新人育成については経営層からも多くの注文がつき、OJT制度の見直しやOJTリーダーの研修を検討する企業が多くありました。
OJTリーダー研修の受講者の話を聞くと、前評判通り優秀な新入社員のおかげか、はたまた熱心な指導が功を奏してか、比較的OJTはスムーズに実施できているようです。
しかし、そこはいわゆる「ゆとり世代」といわせる新人の特徴は、しっかりと持っていて、なかにはOJTリーダーを困惑させるような反応や驚くような言動をみせることもあるようです。
ちなみに、新入社員研修に関しては、例年「なにか面白い(変わった)研修はないか?」というお問い合わせを頂きます。
しかし、今年はその手のご相談が少なかったように感じます。2008年まで採用が活発で、多くの研修会社が新人研修向けに様々なプログラムを開発し、市場をにぎわせたのも、その要因の一つかもしれません。
▽営業担当者の教育では
不況になるとお問い合わせ数が増えるのが、営業研修です。
売れない時代だからこそ、売れる営業担当者を育てたい、というニーズでしょうか。
ご依頼の内容は、即効性のある手法などではなく、「基本的なセールスマナーや話の聴き方、顧客ニーズの引きだし方」など、比較的オーソドックスなものが多いようです。好況時には気にならなくても、不況になると「我が社の営業担当者は基本ができていない!」となるようです。
▽メーカーの製造部門の教育では
「現場力の低下」が問題視され、基礎的な教育や管理基盤の強化の必要性を感じる担当者が多く見受けられました。
リーマンショックの直後は、一時帰休や減産等により人員調整を余儀なくされたところも多く、省人化が進んだことで各人の多忙感が増し、大きな事故の発生につながってしまった、とい
うこともあるようです。
特に2009年年末は工場での重大事故が連日ニュースとなっていました。
その後一転して増産となり、再び人員確保に転じましたが、十分な指導や管理体制が整わなかったため、再びトラブルやミスが多発している状況を耳にします。
昨今の生産システムがいよいよ複雑になる一方、反対に個々人の作業が単純化・限定化されている現場が多く見受けられます。
また知識を体系的に学んだり、経験を段階的に積める場も少なくなっています。
そのため、トラブル発生時など問題解決が必要な場面では、本来幅広い知識や経験がベースになるにもかかわらず、それらが不十分なため、対応のまずさにつながってしまう、という現象が起きているようです。
よく聞かれるのは「機械(設備)の操作はできるが、原理や原則が分かっていない」という声です。
【2】研修テーマごとの研修のご紹介
これまでざっくりと各社の状況を推察しましたが、以降では、研修テーマごとに、ご要望の多かったキーワードを探りながら、お勧めの研修をご紹介したいと思います。
▽OJTリーダー養成研修&OJTフォローアップ研修
今年度はOJT関連研修へ多くの採用をいただきました。
4月から6月にかけては「OJT導入研修」を多く実施し、新入社員の受入準備や指導計画作りを行いました。
新入社員のOJT指導者向けの研修のみならず、「入社から3年目までの成長ステップを描き、育成項目の整備を行う」というお手伝いをさせていただいた企業もあります。
9月から12月にかけてOJTフォローアップ研修を実施させていただく予定です。
特にOJT導入研修を採用いただいた企業ではほぼ100%フォロー研修を実施いただくことになり、新人だけでなく、「指導する側の振り返り」の必要性を感じていらっしゃいます。中には、OJTリーダーに対して、年に4回研修を実施し、定期的に振り返りと計画の軌道修正を行っている企業もあります。
OJTフォローアップ研修で圧倒的に多いOJTリーダーの声は、「自分の業務が忙しくて新人の指導に時間を割けなかった
(反省)」「叱りたいけど、叱っていいか?そして叱った後はどうフォローしたらいいか?(疑問)」です。
後半のOJT指導を見直すためのOJTフォローアップ研修は年内でも十分実施可能です。
詳しい資料をお送りしますので、お気軽にお問い合わせください。
【お勧めの研修です】
「OJTフォローアップ研修」はこちら。
OJT前半の振り返り、後半の指導計画を再構築します。
★詳しい資料をお送りしています。
▽各種階層別研修・評価者研修
2009年に激減した階層別研修も、2010年度になると、企業の研修再開もあり、少しずつご依頼が増えております。
弊社でも新人フォローアップ研修、中堅社員研修、管理職研修、キャリアデザイン研修などを実施させていただきました。
今年は例年以上に「コミュニケーション」を重要テーマとしてご依頼いただくことが多く、対人関係、部門間、世代間での関わり方に問題意識を感じていらっしゃる担当者が見受けられました。
コミュニケーションを求める背景は企業により様々ですが、
・個人の業務が多忙で、物理的に対話する時間がなくなった
・協調し、一体となって取り組むような仕事や機会が減った
・様々な情報共有ツールやシステムの導入により、伝達を簡便に行えるようになったため、対話という手続きが省略されてしまっている
・部門等は細分化されているが、要となる人材が育成されて おらず、またそのポジションも明確でないため、組織や役割を越えて働きかける術がない
などが考えられます。
弊社ではゲームやツール、演習などを工夫し、コミュニケーションの重要性や効果的な伝達方法を理解していただける研修を企画しました。
また管理職研修では、目標設定や人事考課(評価)に関連する研修へのご相談も多くいただきました。
このところの景気動向や人員構成の変化から人事制度の見直しを検討する企業も多くなってきたのもその背景の一つとして考えらます。
弊社では目標管理制度を中心に、人事制度の実績も豊富です。
貴社の制度に則った研修もお引き受けいたしております。
【お勧めの研修です】
「外交官ゲームを活用した社会人基礎力研修」はこちら。
社会人基礎力の体感演習を取り入れた研修として開発されました。
新入社員から中堅社員まで幅広い階層別研修に活用できます。
「評価者研修」はこちら。
評価の信頼性には、部下からの「評価者への信頼」が不可欠です。
▽改善系研修
メーカーの製造職を対象にした「5S」「なぜなぜ分析」「IE(インダストリアル・エンジニアリング)による作業改善」
「提案活動の活性化」「作業指導」など、 改善系研修も多くのご相談を頂きした。
製造現場では、2007年を目安に世代交代が一巡し、非正規社員を含めた経験年数の若い人が増えました。
また2008年の景気後退の局面以降、減産・増産にあわせ、体制も不安定となりました。
一方、かつては盛んであった小集団活動が停滞し、また現場改善に関する教育もあまり行われない時期もありました。
そのため、管理職と現場職の距離(コミュニケーション)が遠くなり、「考える訓練」が不足してしまったのではないかと推測されます。
「ヒューマンエラー」に起因する事故が多いのも、そのような背景があるからかもしれません。
各社の「現場力」の低下を嘆く声、また基礎教育のニーズは高いようです。貴社ではいかがでしょうか?
【お勧めの研修です】
「5S研修」はこちら。
5Sは製造現場の基本!ヒューマンエラーは職場の整備から。
「なぜなぜ分析」はこちら。
トラブルの分析や対策を導き出すのにおすすめの手法です。
「IEを活用した仕事(作業)改善研修」はこちら。
作業のムダ、時間のロスを削減し、効率の良い職場へ。
「作業指導OJT研修」はこちら。
作業の効果的な教え方は身に付いていますか?
▽ビジネスマナー研修
景気動向や時期を問わず、お問い合わせの多い研修です。
最近では、テレビで厳しい指導を行う女性講師が注目されたことで関心も高まったのかしれません。
電話応対や接遇を中心に、クレーム対応やアサーションなどのコミュニケーションスキルを盛り込んだ研修へご依頼をいただきます。
マナーに関しては「過去にマナー研修を実施したこともあるが、なかなか定着しない」「中途採用が多いため、それぞれ我流となっていて、人によってレベルが違う」という悩みがあるようです。
2009年から2010年にかけては、新卒採用を見送り、中途での採用(補充)が多かったためか、「基本を学ばせたい」というお問い合わせを多く頂きました。
しかし、研修を実施してみると、ある程度知識をお持ちの受講者が多い印象があります。ですから、研修では基本の再確認と「それでいいんですよ」と背中を押してあげるだけでも安心されるようです。
では知識はあるにもかかわらず、なぜ職場で実践しないのか。
マナーに限らず基本行動については、上司の率先垂範と全員参
加が基本であると考えます。
つまり、誰もが実践してない職場では、一個人だけに行動を促すのは難しいといえます。
また悪い習慣はいったん身に付くと直すことは非常に困難です。
基本行動の改善には、工夫と根気、反復が必要です。
貴社でも定期的な研修をご検討されてはいかがでしょうか?
【お勧めの研修です】
「ビジネスマナー研修」はこちら。
社会人の基本として。管理職クラスにも積極的な受講を。
「クレーム対応研修」はこちら。
個人と組織の側面からどう対応するか検討しましょう。
最後に
今回の情報はお役に立ちましたでしょうか?
弊社1社へのご依頼からの考察となりますので、教育業界全般をカバーするには至らないかもしれませんが、貴社の研修や人材育成に多少なりともご参考になりましたら幸いです。
今年もまだあと3ヶ月ほどあります。
研修をご検討の際には、ぜひお気軽にお問い合わせ下さい!
最後までお付き合いいただき、誠にありがとうございました。
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