公開日:2025年04月01日
「OJTのツールを整備する(1)」でOJTを効果的に運用するためのツールを分類しました。今回は、シート類について解説します。
OJTでは、もともと計画性が非常に重視されています。そのため、OJTを行う際には実施内容と日程スケジュールを含んだ「OJT計画書」が必須とされた時期があります。
確かに場当たり的な指導とならないようにするためには、「計画書」はあったほうがよいでしょう。しかし、指導担当者にとっては、この「計画書」作りが大きな負担となっていました。
例えば、3カ月間のOJT計画を作ろうとしても、仕事の予定が3カ月先まで見通せている職場はあまり多くありません。そのため、指導の計画を考えること自体が難しく、何とか計画は組めたとしても、かなりの確率でズレが生じてしまいます。
計画と実際のズレが激しいとOJTに対するモチベーションを下げてしまい、遅れを指摘されたり計画書の修正を強要されたりすると、いよいよ苦痛ばかりが増えてしまいます。少し極端ではありますが、これらの状況を捉えると、「OJT計画書」を重視したことがOJTを阻害していたようにも思えてきます。
しかし、OJTを計画的に進めること自体の重要性は否定できません。そのため「計画」に対する考え方を見直してみる必要がありそうです。
例えば、指導担当者がOJTの指導予定と仕事が重なった場合、仕事を優先するのが普通の選択のはずです。そうなると、OJTのほうは仕事の合間を縫って、常に臨機応変に進めていくことが求められます。
こうしたOJTのあり方を現実的に検討し、それを反映した書式に工夫していくことがOJTのシートを設計するうえで重要な視点となります。
言うまでもなく、OJTのシートはそれ自体が目的ではありません。あくまでOJTを効率よく進めていくための道具でしかなく、計画と進捗管理さえできれば、記入箇所は少ないほどよいです。そこで共通部分はあらかじめ埋めておいたり、再利用を可能としたり、記入欄を集約して必要最低限の内容にしていくなど、思いつく工夫はできるだけ取り入れましょう。
新入社員のOJTの場合は、配属時点の能力がどうあれ、全員ゼロから一定レベルまでを指導していきます。そのため指導計画を個別に作る必要性は低く、職種ごとに1つずつ準備されたものを用いることができます。また指導項目は細かく多岐にわたるため、詳細なスケジュール計画を作るのは非効率です。
そこで、「指導項目の一覧」と月単位の大まかな「期間計画」だけを準備するようにします。「指導項目の一覧」には、項目ごとの指導の優先順位を付け、チェック欄として「実施」と「習得」の欄を設けておきます。「期間計画」のほうは、その期間の「テーマ」「内容」「イベント」「課題」などの記入欄があるとよいでしょう。
また、目標管理制度を利用したOJTでは、目標シートを作ることが重要なため、OJTのためのシートはなくても構いません。そのかわり、管理者用の「ワークシート」を準備し、どういう部分を伸ばすのかといった構想を練ったり、何を狙って課題を与えたかを記録したり、期中の指導ポイントをメモ書きできるようにしておきます。こちらは個人別のシートではなく、部下全員を一覧できるものが使いやすいでしょう。このようにOJTの「シート類」は、それぞれのしくみに合うものを工夫することが、OJTを活性化するための重要なポイントだと言えます。
なお、当社ではこれらの内容を踏まえて「OJT計画書」のシートを開発し、『OJT実践ノート』で紹介しています。ぜひ、お役立てください。
次回は、指導手順書について掘り下げて考えていきます。