公開日:2024年12月20日
OJTリーダーフォロー研修で「できるだけ新人に親しく接することを心がけていたら、いつの間にか慣れすぎて、友達感覚でタメ語を話すようになり、このままでよいのか悩んでいる」という声がありました。
最近では、上下関係にこだわらない企業や、敬語を不要としている企業もありますので、新人との距離感がどの程度が適切かは一概に言えません。しかし、容認しすぎると、その感覚が社外の人や上司に対しても出てしまうので、結局本人も会社も得をすることはありません。そこで、将来本人が自己責任のもとに敬語を使わないというのはよしとしたうえで、いったんはきちんとした敬語を使えるようになること、社会人としてのマナーを身に付けることを求めます。それは、必ず本人のためになり、OJTリーダーとしても習得させる義務があるということを前提に、妥協せず指導にあたってください。
ところが、いったん砕けた言葉づかいになってしまうと、それを修正するのは容易ではありません。初期の頃に注意するのを躊躇したばかりに、だんだんひどくなってしまうこともあるようです。そのような場合でも、OJTリーダーが他の社内の人に対し、きちんとしたマナーで接するところを見せたり、新人に対しても指導の最初と終わりは敬語を使うなど、けじめのある行動を見せるうちに、自分で気づいて修正できる人もある程度はいます。
そういう人であればそもそも問題にはならないのですが、OJTリーダーの行動を見ても気づかない人、または気づいてもOJTリーダーの行動を茶化したり小ばかにする人もいます。見かねて注意すると、機嫌を損ねて急によそよそしい態度を取るようになる困った人もいます。
特に対応が難しいのは、第三者がいるところではOJTリーダーにきちんと接しているのに、二人になると急に態度が変わるような場合です。新人の態度が周囲からは見えず、誰かに話しても理解されないため、OJTリーダーだけが思い悩んでしまうということも起きてしまいます。
このような極端な例はともかくとして、一般的な対応策について考えてみます。
まず、言葉づかいが砕けすぎないようにするための最善の策は、OJTのスタート段階で『指導ガイドライン』などを用いて、きちんと確認しておくことです。例えば、お互いに社会人としての正しい言葉づかいやマナーを用いて接することを確認しておき、できていないときは注意することを告げておきます。
このようにすることで、注意される側の了解がとれていますので、実際に気づいたらすぐその場で注意するようにします。注意する際は、くどくど言わず、一言だけで済ませることがポイントです。それだけで、大半の人は自分の行動を振り返ることができ、行動を修正できます。そして、週末や月末の振り返りの際に、自分でマナーのチェックをさせ、必要に応じてOJTリーダーからフィードバックをします。
一言で注意しても自分で修正できない人には、厳しく言ってもあまり効果がないばかりか、反発するだけということもあります。この場合は、別途振り返りの際に時間を割いて話し合うようにします。
さて、冒頭の「友達感覚で、タメ語で話すようになった」ということに関しても、OJTのスタート段階で確認し、気になったときにその場で注意していれば、砕けた言葉づかいを防止できたかもしれません。その確認が不十分で、現時点で砕けすぎた状態になっていたとしても、次の振り返りのタイミングなどであらためて現状を確認し、修正すれば改善していくはずです。
このときのポイントは、相手を責めないことです。「なれなれしくなったあなたが悪い」ではなく、「最初にきちんと言っておかなかった私が悪い」というくらいの気持ちで接し、「今までなじんでもらうことを重視していたけど、これからはきちんとした社会人のマナーで接していきましょう」というニュアンスで伝えるようにしましょう。