公開日:2024年02月05日
前回、「人事部門が行う準備」というテーマで「OJTのしくみの整備」「OJTで用いるツール」について、解説しました。今回も引き続き、同じテーマで解説します。
OJTリーダーには、はじめて後輩の指導を担当する人もいるため、できればOJTリーダー養成研修を実施するとよいでしょう。研修の基本的な内容は、以下のとおりです。
OJTリーダー養成研修は、配属日より2週間前には実施するのが望ましいです。研修日程は、できれば2日間あると研修の中でOJT計画を完成できるので、結果として効率はよくなります。
しかし、配属先が決まるのが遅い場合、新入社員研修とも時期が重なるため、望ましい日程で研修が組めないことがあります。その場合、1時間だけでもOJTリーダーを集めると、意識づけにはつながります。
理想を言えば、こうした機会に数回の研修を組んで、準備作業や手法の習得に留まらず、理解や記憶、意識やストレス、コミュニケーションなどの基礎理論まで学習できると、さまざまなタイプの後輩や状況に対応できるようになり、OJTリーダー自身にとっても成長のよい機会となります。
なお、OJTの研修にはOJTリーダーだけでなく、所属長も参加させる企業も多くあります。所属長の意識が高まれば、部署全体の人材育成への波及効果も大きくなることでしょう。
新入社員の配属先と配属日が決まったら、OJTについての案内を行います。案内すべき項目は、OJTの目的、期間、OJTリーダーの選出方法、作成書類と提出書類、その他の配付ツールなどとなります。
書類の提出を求める場合は、その提出方法と期限を確実に案内しましょう。提出書類は最小限にします。OJT期間の節目に提出物を指定すると、OJTへの意識を喚起し、指導を促す効果が得られます。
人事部門に余力がなく、しくみの整備ができない場合でも、通達文書を1枚だけ出せば、最低限のしくみとなります。通達文書には、所属長の責任でOJTを行うことを明示し、OJTの目的と期間を通知するようにします。これだけでも何もなく配属するのと比べ、確実にOJTの動きが出てくるはずです。