公開日:2023年03月30日
言葉や身振りで相手に働きかけることを、交流分析の用語で「ストローク」といいます。精神科医バーンが提唱したもので、近年ではコーチングにも取り入れられています。
ストロークとフィードバックはよく似た概念ですが、フィードバックが相手の行動や発言に対する「お返し」であるのに対し、ストロークは相手から何もなくても自分から進んで働きかけることを含んでいます。
条件つき(部分的) | 無条件(全面的) | ||
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肯定的 ストローク |
ほめる・微笑みかける・頷く・お礼を言う・励ます・聴くetc.. | 「助かったよ、ありがとう」 「これができるなんてすごいね」 |
「失敗しても大丈夫」 「あなたの顔を見るとほっとする」 |
否定的 ストローク |
けなす・にらむ・非難する・怒鳴る・殴る・無視するetc.. | 「なんでこんなこともできないんだ」 「ひどい出来だな」 |
「おまえは本当にダメなやつだ」 「生きてる価値がない」 |
ストロークには、ほめる、微笑みかける、頷くなどの「肯定的ストローク」と、非難する、怒鳴る、殴るなどの「否定的ストローク」があります。また、両者のそれぞれに、相手の行為や成果に向けられる「条件つき」の場合と、相手の人格や存在そのものに向けられる「無条件」の場合があるとされます。
バーンによれば、人は無条件の肯定的ストロークを受けることで「自分は認められている」「自分は大切にされている」といった自己重要感を増すといいます。
しかし、人は何の関心も示してもらえない状態には耐えられないため、肯定的ストロークが得られない状態が続くと、否定的ストロークでも得ようとするようになるといいます。例えば、遅刻が増える、表情が暗くなる、気のない態度をする、ミスが増えるといった好ましくない態度や行動が目立ちはじめることがあります。
そのため、個人の成長・育成には適切なタイミングで肯定的ストロークを与えることが重要です。ぜひ、OJTでも心がけてください。