公開日:2022年08月22日
前回、OJT後半の指導のキーワードとして「続ける・やらせる・鍛える」について解説しました。 OJT後半の指導では、実践を通して経験を積んでいくことが狙いでもあります。つまり、「やらせる」ことがポイントとなりますが、そのとき意識するとよい方法は、「どんどんやらせる」「一つのことをやらせる」「最後までやらせる」ということです。
新入社員がやれそうなこと、興味を示したことは、「どんどんやらせ」ていきます。
やってみるといろいろな発見もあるし、うまくできなかったりすることで、自分の現状の力や課題にも気づきます。
やらせた後は、できるだけ対話形式の振り替えりを行い、経験から学んだことを「自分のもの」にさせていくとよいでしょう。
どんどんやらせるのとは逆に、あれこれやらせずに「一つのこと」に時間をたっぷり与え、じっくり取り組ませる方法です。
例えば、制作業務や対人折衝を伴う業務など、スキルの習熟が必要な業務の場合、一つのことを何度もやり直しさせながら、しっかりと技能を身につけさせていくことも必要です。
「最後までやらせる」は、どのようなやらせ方をした場合でも、意識したいところです。
いったんやらせたことは中途半端に終わらせず、最後まで自分でやり切らせることで、本人も達成感を味わい、自信にもつながっていきます。
これらを「やらせる」ためには、仕事の「速さ」を身につけさせることも必要となりますが、急がせると手順が粗くなり、ミスの原因にもなります。
そこで「速さ」を教える場合は、スピードを求めるのではなく、仕事の量を増やすようにするとよいでしょう。
OJT前半では、少しゆとりがある程度の仕事量だったのが、OJT後半では少しあふれる程度の仕事量にしていきます。
新入社員には、自分ができるペースで確実にやらせるように告げておきますが、量をこなせば手際もよくなり、段取りも工夫するようになります。
こうして、新入社員が音を上げずにこなせてる間は徐々に仕事を増やしていきますが、少しあふれ始めたところで、増やすのをやめます。
このあふれたところが、その時点における能力のレベルとなるので、こなせている量やミスの数などの質的な面をいったん確認しておきましょう。
そのうえで、負担になっている業務を引き取って業務量を減らしてやり、もう一度、動作や手順を確認しながら確実に作業を進めるように促すとよいでしょう。
あふれ始めたときには動作や手順が粗くなっている可能性があるので、少し時間に余裕を与えて、正しい動作や作業を再確認させます。
ある程度期間を置いて基本の確認ができたら、再び業務量を増やしていきます。
そうすると、以前よりも手際よく滑らかに作業ができるようになっていることを実感できるはずです。
*量は時間当たりで捉えることができるので、量の増減は期限(時間)でも調整することができます。
仕事の「速さ」は、一つひとつの正確な動作や手順が身につき、それを連続動作で滑らかに使えることで実現されます。
そのため、ちょうどいい量を与えるのではなく、こうして増やしたり減らしたりしてやるほうが、全体的にスキルは上がってきます。
同様に、与える仕事の難易度もいろいろ取り交ぜてやると、仕事のさばき方が身についてくるでしょう。