公開日:2022年05月23日
新人が職場に配属された時点にOJTリーダーが指名されるものの、いつまでが指導期間なのかが明示されていないというケースも少なくありません。指導計画書を作成するときは、3カ月とか半年とかいう期間で計画を作るものの、その期間が終了したあと、OJTリーダーと対象者という関係が解消されるのか、なおも継続しているのか、あいまいになっているケースもよく見かけます。
この場合、1年経過した時点か、新しい新人が配属されてきた時点で、お互いの暗黙の了解のもとに指導育成関係が解消されることが多いようです。しかし、もしお互いの認識にズレが生じた場合は、トラブルを引き起こすことになりかねません。
OJTリーダーだけが「もう自分の役割は終わった」と思っている場合、新人の方は担当者に対し不満や不信感を抱いてしまいます。逆に新人の方はそろそろ自分の力でやりたいと思いはじめているのに、OJTリーダーの方が事細かに指導しようとすると、新人の方にストレスがたまり、やる気をなくしてしまうこともあります。
いずれにしても、期間が明確になっていない場合には、関係がこじれたり、新人の成長度合(OJTの効果)が確認されないなど、OJTとして機能しなくなる傾向が強いようです。期間を明示すること、なおかつその期間が満了した時点で、上司が終わりを宣言してやるということが、OJTをうまく機能させる1つのポイントと考えます。
参考までに、弊社が推奨している標準的な期間モデルを紹介しておきたいと思います。
1年後に成長してほしい期待(目標)レベルを想定したうえで、そこへ到達するための最初の3カ月間の指導計画を作成します。この期間設定には特にこだわりがあるわけでなく、比較的多くの企業や職種に当てはまりやすいという程度の理由です。
到達目標の期間を1年後としている理由は、「次の年からは通常の戦力となるように育成しよう」という意味合いです。「翌期から」という設定でも構いません。
また指導計画は3カ月に設定していますが、6カ月でも構いませんし、新入社員のフォロー研修が予定されている場合などは、その時点に合わせるのも1つの方法です。ここは業種、職種に応じて柔軟に変更されたらよいでしょう。ただ、3カ月と設定しているのには、以下のような理由もあります。
以上のことから、仮に6カ月という期間の計画を作るにしても、まず最初の3カ月間の計画を作り、その終了時点での状況を踏まえて、新たな3カ月間の計画を作成するのが現実的だと思われます。このとき、最初の3カ月は若手が担当し、次の3カ月はベテランが担当するというように、OJTリーダーを変更するのも一案です。