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新人の指導担当者は誰にするか?:前編

公開日:2022年02月16日

新入社員のOJT制度には、さまざまな呼び名があります。エルダー制度、ブラザー制度、シスター制度、OJTリーダー制度、フレッシュマン・トレーナー制度などです。
名称だけでなく制度の中身もさまざまです。配属後は一切職場任せという企業もあれば、2~3年に渡る綿密な計画のもとに指導を実施し、毎月人事への報告を義務づけているような企業もあります。
事業特性や職種、企業規模、職場状況などの違いがありますから、どのようなやり方がベストとは言えません。
やり方はどうあれ、せっかく採用した人材を「いかに大きく」しかも「効率よく」育てることができるか、これが企業力の差となって表れてくると思います。
そこでここでは、新入社員のOJTを進めていくうえで、企業の教育担当の皆さまからよく受ける質問を中心に整理しました。

*以下、指導担当者のことを「OJTリーダー」と表記します。


■OJTリーダーは誰にするか?

これは最も多く聞かれる質問です。配属先の直属上司か、先輩にあたる中堅クラスの社員が指導にあたるのが普通ですが、できれば、中堅社員が担当するほうがよいでしょう。指導経験はリーダーシップを身につけるための訓練にもなるからです。
もっと正確に言うならば、直属の上司が指導責任を負い、その上司より権限を委譲されて中堅社員が具体的な指導を担当する、という形が理想です。

OJTリーダー

さらに以下のような質問を受けることがあります。


OJTリーダーは、入社何年目くらいの社員がよいか?

入社後2年以上のキャリアがあれば、まず大丈夫でしょう。企業によっては、前年入社の社員が新人の指導にあたるところもあります。ただし、経験が浅い人が指導を担当する場合、事前に研修を受けるなどの十分な準備が必要です。また、上司のきめ細かいフォローも期待されます。


若手とベテランでは、どちらがよいか?

一概にどちらがよいとは言えませんが、それぞれに傾向はあります。
OJTリーダーが新入社員と年齢が近い場合のメリットは、指導者が新入社員の気持ちを理解しやすいこと、互いに親しみやすいということでしょう。反面、なれ合いになってけじめがなくなったり、競争意識が前面に出やすいため親切に教えようとしなくなったり、細かいことに厳しくなりすぎる傾向があるようです。
OJTリーダーがベテラン社員の場合のメリットは、精神的なゆとりをもって接することができること、豊富な経験を活かした指導が可能なことです。反面、本人が実務に精通しているがために、基本的な知識や技術についての指導が忘れられがちです。なかには、若い人と話すのが苦手だとか、共通の話題が作れないと悩む人も少なくありません。ただ、この部分については、ベテラン社員にとってよい機会ですので、前向きに取り組んでいただくとよいでしょう。


直属の上司が直接指導してもよいのか?

職場によっては、適当な中堅社員がいないこともあります。このような場合は、当然上司が指導にあたるしかありません。
もっとも、中堅社員がたくさんいるにも関わらず、トップの方針などにより、所属長が新人の指導をすることに決まっている企業もあります。これはこれで、意図が明確でありさえすれば悪いことではありません。
ただし、新人の教育は意外と煩わしく時間を要するものです。新人の頃は思わぬところでつまずいたり悩んだりすることがあるので、OJTリーダーにはきめ細かい観察が期待されます。そのため忙しい上司の場合だと、指導が十分に行き渡りません。そうした理由からも、できれば上司とは別にOJTリーダーを任命するほうがよいでしょう。



その他、「新人と同じ仕事をしていない人でもよいのか」「他部署の人がOJTリーダーになってもよいのか」「優秀な人が担当するほうがよいのか、実績がない人でもよいのか」などの質問については、次回、解説したいと思います。

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