公開日:2011年02月01日
この「OJT概論」では、OJTに関連する概念の整理を試みたいと思います。
企業内教育に関わる人なら、OJTという言葉の意味はだれでも知っていると思います。ふだんは一般的な定義を知っていれば問題ないのですが、いざOJT研修を企画しようとか、OJT制度を整備しようなどという話になると、うまく話がかみ合わないことがあります。たとえば、こういう質問や意見をいただくことがあります。
「OJTとコーチングはどちらが効果があるんですか?」
「ある研修で、部下に本を読ませるのは自己啓発だと言われたんですが、どうなんですか?」
「職場で勉強会を実施しているんですが、これはoff-JTになるんですか?」
「OJTは新入社員に対して、2年目からはOJDをやってます」
「新人にはメンター制度を導入していますので、OJTは2年目以降でいいと思います」
「工場ではOJTが合うと思いますが、営業の部下指導で何かいい方法はありますか?」
「わが社は成果主義を導入していますから、OJTは必要ありません」
「わが社は、新人のときからどんどん大きな仕事を任されますから、OJTとか、ちょっと雰囲気に合わないですね」
これらはまったく見当違いということではないのですが、OJTという言葉の内容が少しずつ違っているのがわかります。実際の場面では、そのときの話の流れや背景などから解釈はできるのですが、その後の話の展開が難しいなと感じてしまいます。
こういった言葉の概念の混乱は企業の方々が不勉強だからではありません。弊社のような研修会社やコンサルタントが次々に造語をつくり、無秩序に言葉を使ってきたことが原因で、企業内でのコミュニケーションでも不必要なコストを発生させてしまっています。
この「OJT概論」は、こうした混乱に終止符を打ちたいという壮大な目標をもって書き進めたいと考えています。まずは、OJTに関連する言葉の整理をすること。それには、企業内の教育研修全体のなかで、OJTの位置づけ、対象者、ねらいなどを整理していきます。また、OJTの主な方法論、企業内での制度化の方法、より効果をあげるための課題や論点なども整理してみたいと考えています。
さて、蛇足ですが、この記事のタイトルについて触れておきたいと思います。
このOJTコーナーを改装する前に、コーナーの巻頭に「OJTは機能していますか?」というタイトルのページを掲載していました。そのときも今回と同様に、OJTに関して、もっとちゃんと整理したいと考えて書きはじめたのですが、忙しい中でバタバタ書いたのでまったく中途半端な内容になっていました。それにもかかわらず、いろいろなサイトで紹介されたり、リンクをはってもらったりして、数年間、心苦しく思っていました。
思いは再び。
OJTが各企業の中できちんと機能することを目指して、OJTの理論や手法を発展につながるような情報整理を行っていきたいと思います。