第1章:目標による管理の基本概念
更新 2002.09.01(作成 1999.10.24)
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個人が能力を最大限に発揮するための理論
目標管理の理論的な内容について整理しておきます。
目標による管理は、どのようにすれば個人が能力を最大限に発揮するかという部分と、どのようにすれば個々人の活動を会社全体の成果に結びつけることができるかという部分からなります。
■ノルマ管理と目標管理
個人の能力発揮に関する部分で中心をなす主張は、自発的な目標設定と自己統制です。このとき、伝統的に用いられてきた解説方法は、ノルマ管理と目標管理の対比です。
ノルマとは、ソビエトなどの旧社会主義国などで労働者に与えられていた仕事の分担のことです。例えばある作業者に対して(もしくはグループに対して)与えられた、一定期間内にどれだけの成果をあげなさい、という数値的な責任や義務を指しています。そして、日本の企業でもこの言葉を流用し、作業現場や営業部隊で、「1日のノルマ」とか「今月のノルマ」という言葉が盛んに使われていた時期があったようです。
一方、目標という言葉の定義では、「目的に、期間と達成レベルを加えたもの」という言い方が比較的多く使われました。つまり、何に取り組むかだけでなく、「いつまでに何をどれだけやるか」を明確にしたものが目標だといわれています。
この定義だけを見ると、ノルマも目標も同じように感じますが、‘ノルマ’と目標管理でいう‘目標’の大きな違いは、上位者から与えられるか、自ら設定したものか、ということになっています。
そして、数値的な目標であっても、上位者から与えられたものであれば、義務となり、担当者にとって苦痛以外の何者でもありません。しかし、自ら設定したものであれば、何とかそれを達成しようという意欲が沸き立つものになる、というのが目標管理の中心概念といえる部分となっています。
■部下に仕事を任せる
こうして、担当者は自ら目標を設定することで、その達成意欲をもった存在となる、と仮定されます。つまり、監視や細かな指示を必要としない存在になっている、というわけです。
そのため、部下の目標設定が終わってしまえば、管理者は余計な口出しをせず、その達成過程は部下に任せてしまったほうがいい、という考え方に結びついてきます。仕事を部下に任せても、部下は意欲沸き立つ存在ですから自己統制をしながら目標達成に邁進します。そうして、部下に任せることで、部下は自ら問題解決を図り、障害を乗り越え、創意工夫が生まれてくる、という主張がなされています。
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