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目標管理(MBO)のキーワード

更新 2001.05.08(作成 2001.05.08)

*目標管理(MBO)を理解する上で、基本となる用語を解説します。以下の用語のうちいくつかは、ビジネス用語集でも解説しています。

目標による管理
マネジメントの方法論の1つ。目標管理とも呼ばれている。
‘目標によって’管理する対象は仕事や部下の活動であり、目標そのものを管理するのではない。上司が一方的に担当者の仕事を割り振ったり細かく指示命令するのでなく、担当者自らが自分が担当する仕事について目標を設定する。その目標について上司との合意がとれたら、目標達成に向けての活動は担当者が自己統制しながら進めるというもの。
上司と部下の十分な対話が成功の鍵とされている。
☆→目標管理(MBO)の研究(第一章へ)
目標
マネジメント理論の中では、ある活動や課題に取り組むときに、一定期間後に実現する状態のことを指している。これを簡略化して「活動の目的や課題に、期間と到達レベルを加えたもの」と表現されることが多い。
何に取り組むかだけでなく、期末までにどれだけやる、どんな状態にする、というところまでを明確にすることで、達成度評価が可能なものとなる。
目標の連鎖
ある担当者の目標は、その上位組織(上司)の目標と関連し、またその組織の構成メンバー全員の目標を合わせると上位組織(上司)の目標が達成できるような関連性を作っていく。こうして経営トップから末端のメンバーまで、組織全員の目標が連なった状態になることをいう。
目標と方針
目標管理における方針とは、目標を達成するための活動の方向づけや制約条件を意味している。したがって、下位者の目標は上位の方針の範囲内で設定することになる。
古典的な目標管理では、目標と方針はセットで提示される必要があるということが強調されていた。
自己統制
担当者自身が、自分で自分の活動を管理しながら仕事を進めること。
目標管理では、担当者が自ら目標を設定することで自発性と責任感が生まれ、上位者が細かな指示やチェックをしなくても自ら創意工夫をしながら目標達成に向けて努力するようになると主張されている。

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ノルマ管理
目標管理が紹介された当初、目標管理を理解するための反対概念として引合いに出されていた。
ノルマとは、旧ソ連の国営企業や国営農場などで、労働者に割り当てられ、義務づけられる生産目標を指している。これになぞらえ、日本でも営業担当者などに割り当てられる販売予算のことをノルマと呼ばれていた。
目標管理でいう目標とは、このように押し付けられるノルマとはまったく違うものだという意味で対比されていた。
目的/手段体系
ある目的を達成するための手段は、その手段の範囲だけを担当する人にとっては目的となっていて、さらにその目的は複数の手段に展開される。こうして目的と手段はツリー状の体系をなすというもの。
目標管理において大きな目標に取り組むときには、その期間中の目標として、この大きな目的手段体系の中のどこに焦点を当てて目標とするかが大切とされている。
X理論、Y理論
アメリカの経営学者マクレガーによって提唱された、管理行動を考える際の人間観。
X理論は、人は生まれつき怠け者で、厳しい賞罰で統制しなければ働こうとしないという前提に立つ。それに対しY理論は、人は条件次第で目標達成に努力し、自ら進んで責任をとろうとするという前提に立つ。
マクレガーは、人を成長させ、より高い目標を達成するためにはY理論を前提とすることが必要と唱えた。
行動科学
人間の行動を研究対象とする科学。心理学・社会学・人類学・生理学・精神医学・政治学・経済学・経営学・歴史学などの諸科学の境界を超え、人間行動についての統合的な解明をめざす。アメリカの心理学者J.G.ミラーらシカゴ大学の研究者たちによって唱えられ、1950年代初頭、フォード財団が研究を支援した。
経営分野においては、組織の意思決定過程や人間関係に焦点があてられ、マネジメント理論に大きな影響を及ぼした。
組織目標と個人目標の統合
目標管理の中で担当者が自ら目標を設定しようとしたとき、組織目標と必ず整合するとは限らない。このとき組織目標を押しつけたのでは目標管理の理念やメリットが生かせないし、足して2で割るようなことをしたのではエネルギーが分散してしまい大きな成果が期待できない。そこで、組織と個人の目標をどちらも満足できるような第3の解を探すことで発展的な統合をはかろうとするもの。
もともとは、組織の目的と個人の欲求を同時に実現するようなマネジメントをめざそうとした目標管理の理念に由来していると考えられる。

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職場の使命
職場目標を設定する際の指針としてまず最初に明確にすべきとして、目標設定のプロセスに採用されることが多い。
吉田博の『職場管理の充実』(1970、産能大出版)が大きな影響を与えた。
そこでは「下位者におけるその職場の存在理由(基本目的)であって、職場活動の全てを方向づける基本指針(羅針盤)」と解説されている。
定量目標と定性目標
一般的には数値化が可能な目標と数値化が難しい質的な目標とされている。しかし定性的な目標も、計数的な技術を用いて管理指標を明確にし、定量的な目標に変換できるものも少なくない。逆に定量目標も、その達成イメージを具体的にするために定性的に表現することも可能である。
したがって定量目標と定性目標は表裏をなすものであり、目標の定量的な表現と定性的な表現という捉え方をすべきと考えられる。
結果目標とプロセス目標
比較的よく目にする表現であるが、その意味はあいまいになっていることが多い。 結果目標の方は期間中の活動の最終結果に関する目標をさし、主に企業業績を構成する数値的な目標を意味することが多い。一方プロセス目標は、ある目標を達成するための中間的な課題の到達点、つまり目的手段体系の中のある段階の目的に対応する目標を指している場合や、目標達成過程の活動の仕方の期待水準をさしていることもある。 前者の場合、その期間で見れば結果目標そのものともいえ、後者の場合は結果で管理する目標管理で掲げるべき目標の対象ではないともいえる。これらの混乱は、そもそもその職場や担当者がめざすべき成果は何かという議論が不十分なときに起きると考えられる。
業務目標と能力開発目標
業務目標とは担当する仕事に関する目標で、能力開発目標は期間中に担当者がどのような能力を習得するかについての目標である。
かつては、能力開発目標を目標管理の目標のなかで必ず掲げるように指定している企業や、能力開発目標だけの目標管理を展開している企業も多かった。 ところが目標管理が業績評価や賃金の査定と連動するようになると、能力開発は業務目標を達成する手段でしかなく、能力を高めたからといって組織に貢献したわけではないとして、目標管理からは除外する企業が多くなった。
しかし、技能の習得を重視する企業では、若年層に限って能力開発も業績の一部と認め、目標設定に加えることを認めている企業も少なくない。
ブレイクダウン
上位の目標を下位に展開していくときの1つの方法。
研究者やコンサルタントによって、目標の下位展開をすべてブレイクダウンと呼んでいることもあれば、営業部門における売上目標のように、職場全体の数値的な目標を各メンバーに割り振っていくような方法のみを指していることもある。

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業績評価
担当している仕事の成果や組織への貢献度を測る評価。
企業や研究者により、数値面だけの評価をさしている場合や相対的な順位づけを行う評価をさしている場合などもある。
目標管理を導入し、それを評価に連動させている企業では、目標の達成度だけを取り上げて行う評価を意味していることが多い。
目標管理におけるOJT
目標管理のプロセスを利用した部下育成の方法論。
個人別の指導計画書を作成し、計画にしたがって個別指導を行っていくようなOJTと区別される。吉田博の問題解決型のOJTがその代表。
目標設定時点では部下の成長を促すような一段高い課題の提示や目標の方向づけを行い、その目標に取り組むことそのものが能力開発につながるような仕掛けを行う。達成過程ではできるだけ部下に任せ、障害にぶつかっても自ら問題解決をはからせながら上司は側面支援に徹する。評価段階では結果とプロセスについて上司と部下が一緒に振り返りを行うことで、改善点を話し合い、仕事に対する習熟を促していく。
このような過程が、本人の能力開発に有効であると考えられている。
積極的傾聴(MBOバージョン)
カウンセリングにおけるコミュニケーション技能の1つ。
目標管理では、上司は部下に対し目標の押しつけは行わないが、部下が自ら職場状況を理解し職場に貢献できる目標を設定するように誘導することが必要となる。また、達成過程では部下に仕事を任せて個別的な指示を控えるべきとされており、そのためには目標設定段階で上司と部下が相互理解に立っておく必要がある。
そのためは上司の対話の技術、特に聴く技術が重要となり、その手法としてカウンセリング技法が注目されるようになった。目標管理を導入する際には、上司側のトレーニングの必須項目として位置づけられている。
☆→傾聴(用語集のページへ)

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