ナビゲートのロゴ

会社プロフィール

045-561-2251
お問い合わせボタン

掲載記事

  • Lボタン
  • Mボタン
  • Sボタン

「人材教育」2010年1月号2009.12.22

掲載記事

「人材開発プロフェッショナルが語るHRDキーワード2010」

人事崩壊元年!? 今こそ「鍛える」ための基盤づくりを ~業務マニュアルとOJTシステム~

<以下掲載内容>

◆1人当たりの生産性を2倍にしないと生き残れない!?

2010年は、ひょっとしたら人事崩壊の元年になるのではないかと危惧しています。経済が国際的に融合していくと、労働コストの要求水準は、新興国並みの水準に向かってますます引き下げられていくと思われます。ところが、政策面では派遣労働の禁止や最低賃金の引き上げなど、逆に労働コストのアップにつながるようなことばかりが取り沙汰されているからです。
一方、会社の中を世代ごとに見ると、まず、上の世代は定年延長の経過措置が終わり、会社は気力が低下した人でも雇用し続けていかなければなりません。若年層では少子化によって優秀な新卒社員の獲得が難しくなるだけでなく、採れてもいわゆる“ゆとり世代”の層となってきます。そして働き盛りの30~40歳代は子育て世代で、その優遇がますます強まるため、「いったい誰が働くの?」といった情勢なのです。
このような中で企業の人事部門は、 90年代以降、賃金制度、福利厚生、世代交代、組織のスリム化など、次々に改革を進めてきました。しかし、その多くは緊急対応的なものであり、将来につながるような新しいビジョンまでは打ち出せていません。
社員教育においては、キャリア開発やコーチング、ファシリテーションなど、“教育の民主化”は進みましたが、逆に教えるべきことをきちんと教える部分は、かつてに比べるとずいぶん後退してしまったという印象を受けます。
今後、コスト競争がさらに激化し、1人当たりの人件費は上昇し、人材の質は低下していくことを考えると、少々乱暴ですが、「1人当たりの生産性をこれまでの2倍にする」くらいの腹積もりで取り組まないと、今言われている政策や労務構成の問題などに対応できない――それぐらい危機的な状況ではないかと思うのです。 そこで、今年のHRDのキーワードとしてわれわれが考えているのが「鍛える」です。「鍛える」ことで生産性を上げないと経営が成り立たない時代がくるからです。

◆「鍛える」上で不可欠な業務マニュアルとOJT

ナビゲートは1995年の設立以来、OJT、5S、目標管理、そして業務マニュアル開発といった組織の基盤となるテーマに地道に取り組んできました。正直なところ、研修ビジネスとしては手間がかかり、決して儲かるテーマではありません。しかし、本当に組織の力になるのはこれらの基本的なテーマであり、これらがしっかり根付いている会社は不況期にも強いものです。
そして、社員を「鍛える」上でも、これらは重要な要素になります。
まず、そのベースとなるのが5Sです。職場を整理整頓し、効率的できれいな環境を維持できなければムダだらけで何も進まないからです。
次に、会社や上司との信頼関係を築き、やる気を引き出す必要があります。それには、目標管理や評価制度といった仕組みが重要になります。
そして欠くことができないのが業務マニュアルです。業務マニュアルとは、業務の標準を決めて文書によって可視化することです。この標準を書き替えていくことが改善につながります。よく“マニュアル人間”をつくるといった言われ方で批判されることがありますが、マニュアルすら作れない会社が、いったいどうやって人を指導し、育てることができるでしょうか。マニュアルが整備されていれば、指導効率は高まりますし、教える側の準備も軽減されます。その意味で、マニュアルが整備されている会社とされていない会社では、人を育成して戦力化する際に、コスト面で大きな差がつくはずです。
これらの環境やツール類があって、初めてOJTを展開することができます。初級者の指導に限っても、業務マニュアルの有無で指導効率が何倍も違いますし、中級者以上の指導となれば、標準的なスキルが身についていない状態では、どうにもできないからです。

作図

◆効果的なOJTのポイント

われわれがOJTを行う際には、社内にさまざまな階層や職種がある中で、重点対象層を定義することを勧めています。それは、社内で確実に教える層と社内では教育が難しい層を選別した方が良いからです。例えば、新入社員、若手の底上げ、第一線の実務担当者、リーダー、新任管理者といったところです。次に、重点対象層ごとに、できるところからでいいので、目的、指導方法、仕組みを整備していきます。そして、仕組みごとにOJTマニュアルを準備し、指導者研修を実施します。
ナビゲートでは、各社から依頼を受け、OJTマニュアルの受託制作と指導者研修を行っています。その他に、汎用的なOJTツールとして、冊子型の「後輩指導実践ノート」、Web版のオンライン実践ガイド「ドラセナ」を提供してきました。
そしてこの春には、これら2つのツールのクライアントの声を反映した新商品として、冊子とWebサービスを組み合わせた新入社員のOJTのためのツール「OJT実践ガイド」を発売します。冊子は汎用的な解説とワークブックとなっており、WebではOJTで用いるシート類のダウンロードと個別の問題に関するQ&Aを提供していきます。
細かい話ですが、「OJTは重点的・計画的に」とよく言われますが、新入社員のOJTを担当する若手社員の場合、権限があるわけではないので、自分自身の仕事も計画通り進められず、ましてOJTだけを計画通り進めることはほとんどできません。一般的な計画表は、日程と実習項目をフィックスさせて作られていることが多いのですが、なかなか計画通りにはできないので、やる気がしなくなってしまう面があります。そこでわれわれは「期間別マスタープラン」というざっくりとした計画表と、「指導項目リスト」の組み合わせで管理することを勧めています。これらを用いれば、仕事がダイナミックに変化しても、3カ月後、6カ月後といった大まかなプランを意識しながら「漏れなく、確実に」指導することが可能になります。こうした工夫は長年OJTに取り組んできたわれわれの強みといえます。
今のような不景気な時期には、コストをかけて集合研修を大々的に展開するようなことはやりづらいはずです。現場もさほど忙しくなく、協力を得られやすい今こそ、社内で育てる仕組みをつくるのに適しているのではないでしょうか。

「人材教育」2010年1月号 より

このページの先頭へ