前回のTipsに引き続き、業務フロー図を描く場合の単位について解説します。1つの目安にしてください。
どの単位で業務フロー図を描く？
業務フロー図をどの程度の粒度（単位）で描くのが理解しやすいかについて、当社の考えを解説します。
まず前提として、対象とするのは「人間」が業務を理解するための業務フロー図です。主には教育を目的とした業務フロー図について解説します（目的については前回のTips No.69も参照してください）。
当社は、業務項目の単位でこのようなシンプルな業務フロー図を描きます。
業務項目とは業務の最小単位です。これについては、Tips No.67「業務の体系化は2階建てで」の項目を参照してください。
大きな業務は俯瞰図で表し、業務項目を構成する作業については業務フロー図で表します。
業務フロー図で表す作業の単位は「基本処理」までです。基本処理とは1つの要素作業の名称で、業務フロー図の四角い処理記号の中に入る言葉ととらえてください。
1つの業務項目の大きさは？
業務フロー図は、基本的に1つの業務項目を単位として描きます。業務項目とは、複数の担当者間でモノや情報をやり取りする一連の工程を指します。目安として、業務フロー図はA4用紙1枚に収まる程度のボリュームとします。これはあくまで目安であり、紙のマニュアルを前提としているわけではありません。紙媒体でもWebマニュアルでも、その程度の情報量を基準とするという意味です。
業務フロー図の目的は、業務の内容を人間が理解できるようにすることです。そのため、全体を俯瞰しやすい構成を重視しています。内容的な区切りを前提としつつ、まずは1枚で俯瞰できる範囲を1つの業務項目としてまとめることが重要です。この単位は、指導や学習を効率化するうえでも適切なボリュームであると考えます。
たとえば、当社が業務マニュアルを受託開発し、業務フロー図を作成する場合、まず「業務分析フォーマット」を使用して業務の情報を整理します。そのうえで、1つの業務項目ごとにフロー図をA4用紙1枚に収まる程度で描きます（Webマニュアルの場合は85％縮小）。
＊業務分析フォーマットについてはこちらも参照してください。
なお、「基本処理」の内容（手順と留意事項）については、別途手順解説としてまとめます。これは1枚に収める必要はありません。
さらに大きな業務の単位で括る場合は
もっとも、この業務項目のセット（業務フロー図と手順解説）をいくつか束ねて1つの業務マニュアルにしたいという場合もあると思います。
以下は「店舗業務」の例ですが、「開店準備マニュアル」「品出し業務マニュアル」「発注業務マニュアル」などをまとめて「店舗日常業務マニュアル」などとまとめる場合があります。この場合は、業務区分の単位で1つの業務マニュアルに括るイメージです。
この業務区分の単位で業務の俯瞰図を描くこともありますが、その場合もA4用紙1枚に収めることを目安とします。
1つの業務フロー図を展開する場合は
また、「開店準備業務」という1つの業務項目のフロー図をさらに分割し、例のようにアイコンを使いながら具体的な作業のフロー図を描く場合もあります。これは、あくまで1つの業務項目のフローを工程区分の単位で展開したものと位置づけます。
マニュアルを利用する対象者によっては、ここまで詳細に展開することが求められる場合もあります。その場合でも、フロー図はA4用紙1枚に収まるよう工夫します。
つまり、業務フロー図にする大きさはA4用紙1枚を目安とします。業務項目の単位では必ず業務フロー図を描き、必要に応じて、その上位の業務区分や業務項目の下位にあたる工程区分でもフロー図を作成します。いずれの場合でも一覧性を重視して、その目安をA4用紙1枚としています。参考にしてください。
業務分析フォーマットについて
なお、当社の「業務分析フォーマット」を活用すれば、業務フロー図を描かなくても、1つの業務項目の分量について目安がつけやすくなります。そもそも「業務分析フォーマット」は、1枚のシートで1つの業務項目を整理することを想定して設計しているからです。
以下の「業務の整理と可視化」実践講座を受講いただくと、業務の単位を具体的に実感していただけると思います。よろしければどうぞ。
Youtubeでも関連情報を解説していますので、あわせてご覧ください
author：上村典子
