No.65

概念を図解で伝えるために

category:表現/ワンポイント/テーマ別

更新日:2024年 10月 03日
公開日:2024年 02月 06日

テキスト情報だけでは伝わりにくい場合、それが作業手順であれば動画や写真、イラストなどの併用が有効でしょう。では概念や関係性など、目に見えない情報の場合はどうでしょうか。その場合は図解が有効です。今回は概念を伝える図解(概念図)をテーマに弊社の考え方をお伝えします。

図解のための要素と属性

図解とは図を使って解説を補うことです。特に概念を図解したものを「概念図」と呼びます。業務マニュアルにおいては、そもそもの基本概念(事業活動の構図や各業務の位置づけ、体制、情報処理のしくみ、業務のキー概念など)を解説するのに図解が有効です。
図解するために必要な要素と属性には以下のものがあります。

図解の要素と属性

まず要素としては、概念のキーワードがあります。そしてそれを表現するためのパーツとして「図形」、図形を関係づける「罫線」、方向を示す「矢印」、必要に応じて「アイコン」、といったものがあります。図解をするにはこれらの要素を組み合わせて構図を作り、さらにそれぞれの属性(配置、サイズ、配色)を調整します。

概念をわかりやすく図解するには、適切な要素を選ぶこと、そして属性を調整して意味付けを行うことです。もし解説場面によって図の要素と属性の使い方が変わってしまうと、見る側を混乱させてしまうので注意しましょう。

要素と属性が変わると意味が変わる

例図のように、たとえキーワードが同じであっても、パーツが変わるだけで印象がかなり変わってしまいます(1と2)。さらに属性が変わると、メッセージの伝わり方も変わってしまうことがあります。3番の図では、例えば以下のような印象を受けないでしょうか。

  • 顧客よりメーカーを重視している。
  • 自社はメーカーと一体感をもって仕事をしている。
  • 加工会社へ発注するのはイレギュラーな処理だけ。

感じ方には個人差はあると思いますが、いずれにしても1番の図とは別物の印象を受けないでしょうか。


要素と属性という分け方にこだわる必要はありませんが、図解するときは、これらを1つひとつ分けて、順番に考えていくとよいでしょう。まずは伝えたいキーワードを決めてパーツを選び、配置やサイズを試行錯誤して、最後に色を決める、といった具合です。

キーワードに合うパーツを選ぶ

図形(単純図形)

パーツにはまず図形があります。図形といってもさまざまですが、円や四角、三角形などのシンプルな幾何学模様(単純図形)を基本にして考えましょう。

円や楕円は、人、思い、まとまりなどを表す場合や、抽象的、柔らかい、円満といったイメージを表す場合に使用します。
アレンジとして、複数の円を重ねることで集合と共通部分を表現できます。
また、境界線を波打たせると、混とんやゆらぎ、迷いなどを表すこともできます。

図形のイメージ(丸と四角)

四角は、物体、機能、処理などを表す場合や、具体的、固い、確定、安定といったイメージを表す場合に使用します。また四角を台形にするとさらに安定さを増し、そもそもの土台、よりどころなどを表すことができます。業務マニュアルでは、制度や規範などを表す場合によく台形を使用します。
また固いイメージの四角ですが、角Rにアレンジすると印象が和らぎ、ゆるやかなまとまりになりますし、45度回転させてひし形にすると軽さや動きが出ます。なお、ひし形はフローチャートの判断記号としても使われます。

図形のイメージ(三角と多角形)

三角形は用途の広い図形です。安定感がありつつ鋭さもあり、また向きによって印象が変わります。業務マニュアルの中では、階層構造や注意喚起、時間軸上のマイルストーン、その他矢印に代わって方向を示したいときなどによく使います。
多角形は角の数によって印象は変わりますが、対等な要素をつないだり、レーダーチャートのように各要素のバランスを見る場合に使います。また5角形のベース型は、プロセスを表現する場合に便利です。

罫線

罫線は、図形そのものの囲み線のほか、図形同士をつなぐ、囲む、分ける場合にも使います。
実線と点線はメインとサブの関係として使用します。
直線は明確なイメージで、曲線は曖昧さや動きのあるものをイメージして使い分けるとよいでしょう。

矢印

矢印は、流れ、方向、変化や成長を表します。罫線の矢印は要素をつなぐ場合に、図形の矢印は、方向を示す場合に使うとよいでしょう。曲線を使った矢印は躍動感を表せます。

アイコン

アイコンとは、何らかの対象を疑似的に表したものです。業務マニュアルでは、概念図やフロー図の中で人型や帳票、パソコンなどのアイコンをよく使います。
アイコンを使う場合は多用せず、補足的に使う程度にとどめるとよいでしょう。



以上を踏まえ、キーワードにあわせてパーツを選び、そして図形同士を組み合わせて、図(概念図)の骨格を形成します。

長くなりましたので、次回はさらに「属性を調整することで意味を持たせる方法」についてご紹介します。
なお、業務マニュアルの中で使用する概念図としては、構造・関係を示すもの、流れ・循環を示すもの、位置づけを示すものなどがあります。 これらの例については、Tips19「業務マニュアルでの図解のすすめ」も参考にしてください。



Youtubeでも関連情報を解説していますので、あわせてご覧ください



author:上村典子kamimura

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