業務マニュアルの構成を考える場合、まず、情報を構造化することとページ構成を組み立てることを分けて考える必要があると思います。
ここが混乱しているケース、またはいずれかが欠落しているケースをときどき見かけるからです。
情報の構造化
これは制作する側のための作業ととらえています。
具体的には、仕事の構成要素を洗い出し、分類と階層化を行う作業となります。
*これについては以下を参考にしてください。
情報を構造化することの意味としては次のようなことがあげられるでしょう。
制作者の理解のため
情報を構造化するということは頭の中を整理することでもあります。まずこれが大事。
制作作業の管理のため
もし情報が構造化されていなかったら、データファイルの階層構造もうまく設定できないでしょうし、また作業全体の進行管理もままならなくなると思います。
特にWebやイントラネットを使った電子マニュアルの場合はリンク機能が生命線ですので、ファイル構造いかんによって作業効率が大きく左右されることになるでしょう。
ページ構成
これは読み手側の理解に応じて設計する作業ととらえています。 特に印刷物(紙媒体)のマニュアルを作る場合、「情報の構造化」という作業を飛ばして、いきなりページ構成にとりかかるケースも多く、またそれで事足りることも少なくないようです。経験的に情報の構造が整理できているならば、それでもいいでしょう。しかし、もし情報が構造的に理解されていないままページ構成を行ったとしたら、わかりやすい構成にはなりづらいと思います。 もっとも、制作側の理解に応じてページ構成をすることが相手にとっても理解しやすいわけではない、ということは強調しておきましょう。情報の構造に意識がとらわれすぎると、かえってわかりづらくなる場合もあります。最終的には"相手の理解"が基準ですから、あえて構造を崩すことだってありえるのです。
仕事の整理についてはtips8やtips9でも触れたので、ここではページ構成を主題に書くつもりだったのですが、意外に前ふりが長くなってしまいました。 今回の内容を手短かに言うなら「自分が理解した上で、相手の理解度に応じて作りましょう。自分が理解できていないことを人にわかりやすく伝えることはできませんものね」という、しごく当たり前の話なのでした。
author:上村典子