自分の意志で買い求めた商品のマニュアルを読む場合と、業務マニュアルを読む場合とでは、事情はかなり異なります。結論からいうと、業務マニュアルは「作っただけではダメ」な存在です。両者の違いを見てましょう。
渡すだけでは読まれない
まず、マニュアルに対する取り組み姿勢が違います。
商品マニュアルも業務マニュアルも「できれば読まずに済ませたい存在」であることには違いありません。しかし、自腹を切った商品のマニュアルなら多少のわかりにくさは克服できるでしょう。その先に待つ楽しみが、マニュアルを読むストレスを相殺するからです。これが業務マニュアルの場合、"読まされる"ストレスだけが意識されがちです。
できるだけでは不十分
商品マニュアルは、ユーザーが一通り操作できるようになることを目指します。
業務マニュアルは「できるようになる」だけでなく、その行為を継続させることまで目指します。そして最終的に、何らかのカタチで生産性の向上につなげることが期待されるのです。
*これについては以下を参照してください。
以上からいえることは、業務マニュアルは作って渡すだけではダメで、重要性を周知し徹底させるための活動が必要だということです。その方法はさまざまですが、いずれも"教育"という言葉で言い表されるかと思います。どんな業務マニュアルでも、何かしらの教育活動がセットになってはじめて生かされるのです。(なお、弊社で業務マニュアルを請け負う場合は、その部分も含めてお手伝いします。念のため。)
ですからマニュアル制作担当者は、制作のプロデュースと同時に教育のプロデュースも担うことになります。
補足
なお「どうせ教育するんだからマニュアルの質が多少悪くてもよい」というのは、まったく見当はずれな見方です。 繰り返しますが、業務マニュアルはそもそも「めんどうくさい」ものです。その上、マニュアルがわかりづらいためにモチベーションを下げてしまったらどうでしょう。どんなに教育してもムダというものです。逆にマニュアルの品質を高めることで、教育の負担を軽減することが可能になります。
*これについては以下も参照ください。
author:上村典子