当社では、業務が多忙なためか、秋から冬にかけてOJTが自然消滅してしまう傾向があります。
他社では秋にOJTリーダーのフォロー研修を実施していると聞いたことがあるのですが、フォロー研修はどの程度効果があるのでしょうか?
経験的にいうと、OJTリーダーのフォロー研修は、内容のいかんに関わらず、確実に一定の効果があります。
参加者のOJTリーダーに追跡調査をしてみると、全員とはいきませんが多くのOJTリーダーがフォロー研修後に計画の練り直しをやったり、新人と面談をやったりしています。また、他のOJTリーダーから刺激を受け、いろいろ試してみたという人も少なからずいるようです。
ところが、研修参加者のアンケートを見ると、研修自体がかなり盛り上がっていたと感じられる場合でも、「時間が長すぎる」「役立たない」「必要ない」といった意見が混じることがあります。
そうした意見を持つ人を分析してみると、次のようないくつかのタイプがあるようです。
1)業務が本当に多忙な人
2)OJTが順調に進み、問題がないと感じている人
3)OJTに取り組んでいない人
4)研修で自分の抱えている問題が解決できなかった人
上記のうち、1)は研修に意識が集中できてなく、3)は取り組んでいないので参考になるものも少ないため、研修に対しても否定的になるのかと思われます。
しかし、実際にはこの2つのタイプの人こそ、研修を受講させる必要があります。
本人達もマイナスからのスタートですので、研修を受講しても大きく変わるというわけにはいきませんが、研修には否定的であっても、研修後には少しずつOJTに取り組みはじめるということもめずらしくありません。
上記の2)の人は、自分ではフォロー研修の必要性を感じないタイプで、研修中も「それはこうすればいいんだよ」とか、他の受講者に上から目線でアドバイスしていることもあります。
ところが、順調に進んでいると思っているのは本人だけで、新人の側は「あまり教えてもらえない」「質問しづらい」などと感じていることもあります。
ときどき出てくるケースでは、秋口には順調に進んでいると言っていたOJTリーダーが、年明けや3月末の段階になると、失敗だった、うまくいかなかったと発言を変えていることがあります。
こうした変化は、自分の指導や新人に対する洞察ができてなかったために起こる現象で、OJTの期間が進むにつれ、新人の側が感じていたストレスや不満が顕在化しはじめ、OJTリーダーがコントロールできなくなるためかと思われます。
そのため、フォロー研修の段階ではOJTが順調に進み、研修の必要性を感じていない人に対しても、振り返りや気づきを促す場を設定することはムダではありません。
最後の4)は、研修内容や研修講師側の力量にも関連する問題です。
状況によってはかなり難しい問題も含みますので、関連する他の質問で詳述したいと思いますが、OJTリーダーのフォロー研修を実施したことで、難しい問題を抱えているOJTリーダーを発見できたとしたら、それだけでも効果といえるだろうと思います。
まとめになりますが、OJTリーダーのフォロー研修は、上述したタイプ以外の人、すなわちOJTにある程度取り組んできたOJTリーダーにとっては、必ずある程度の効果が期待できます。
また、研修アンケートで否定的な回答をした人であっても、むしろ必要な場合が多いし、少なからず効果があると考えていいと思います。
☆関連→「フォロー研修で、OJTリーダーが抱えている個々の問題を解決できますか?」
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