秋ごろになると、OJTリーダーがいろいろな問題を抱えて苦労していることがあります。
OJTリーダーのフォロー研修では、それらの個人個人が抱える問題の解決まで可能ですか。
フォロー研修をうまく進めることができれば、OJTリーダーが抱える問題の多くを解決したり、解決の糸口を与えることができますが、一部には解決できない問題が残ることがあります。
集合研修の形式で行うOJTリーダーのフォロー研修では、参加人数も多く、時間的な制約もあるため、どうしても講師が全参加者の個別の問題に対応することができません。
そのため、個別の問題を検討するセッションではグループ討議を活用することが多くなりますが、受講者の相互アドバイスによって解決できる問題も少なくありません。
たとえば、OJTリーダーが抱える問題は、大きく次のように分類でき、また問題によってはそれらのいくつかが絡み合った状態となっています。
1)業務の状況や上司に起因する問題
2)新入社員の能力や性格に起因する問題
3)OJTリーダーの性格や指導方法に起因する問題
上記のうち、2)と3)の多くは、グループの中で解決策あるいは「自分はこうやっている」という意見が出されるため、問題を抱えているOJTリーダーの多くは、納得できるアドバイスを得られるようです。
上記の1)については、OJTリーダーだけでは解決できない問題です。
しかしグループによっては「忙しいのはみんな同じだよ」とか、「私も時間がとれないけど、こうやっている」といった前向きな討議がなされるときがあります。
逆に、グループによっては忙しいことをみんなが納得してしまい、打開策を考えようとしないことがありますが、そういう場合は担当講師が「その条件の中でどうすればいいか、何ができるかを考えよう」という具合に、自分たちで解決できない状況に対する姿勢を教えていくことも重要となります。
ただ、この1)の問題に関しては、問題の程度が大きいと思える部署に関しては教育スタッフが拾い上げ、何らかの手段でその上司にフィードバックする必要もあります。
そういう情報を拾い上げるのもフォロー研修の機能の1つです。フィードバックしても無関心な上司もいますが、中にはOJTリーダーの業務を調整し、状況を是正してくれる上司もいます。
フォロー研修の中でむしろ難しいのは、2)や3)に該当する問題で、グループのメンバーからアドバイスをもらったにも関わらず、問題を抱えているOJTリーダーが納得しないケースです。
深く悩んでいるOJTリーダーは、フォロー研修前に試行錯誤してきていますので、グループのメンバーからのアドバイスが浅く感じられ、「そういうのはもう全部試したよ」と反論してしまうケースがあります。
反論が続くと、そのうち他のメンバーから「あなたの関わり方に問題があるんじゃないか」「そのやり方がダメなんだよ」などと批判され、いよいよ納得しづらくなってしまいます。
その結果、そのOJTリーダーは、「フォロー研修はムダだった」「役立たない」と研修自体を否定してしまうこともあります。
担当講師が豊富な経験がある場合、グループ討議のまとめの時間などを使い、問題のポイントを一般化し、参加者全員で基本的な対応策を提示するまでは可能です。ただ、個別性の高い問題を限られた時間でひも解くことは困難なため、そのOJTリーダーの問題自体は解決されずに残ってしまうことがあります。
ただし、OJTリーダーのフォロー研修としては、難しい問題が存在していることを浮き彫りにできたところまでで、一定の機能を果たしたと考えていいだろうと思います。
OJTリーダーと新人の間の問題がこじれ、OJTリーダーが悩んでいるような状況では、OJTリーダーと新人の双方に、性格的な面も含めた問題がいくらかずつ存在していることがほとんどです。
そうした問題は、丁寧に、1つずつ時間をかけてひも解いていく必要がありますし、解決の方向に向わせるには、まずOJTリーダーのほうがその状況を受け入れ、自分のかかわり方を変えていくしかありません。
そのため、研修が終了したあとも、教育スタッフと上司が協力して、時間をかけてフォローしていくことが重要といえます。
以上、OJTリーダーのフォロー研修ではすべての問題を解決できるわけではありませんが、かなりの割合で問題解決が可能ですし、1日か2日間の研修としては十分効果的だと考えていいと思います。
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