前回、3種類のマップを作成しながら、事業区分、業務区分、業務項目を洗い出しました。今回は、これらの階層構造について補足したいと思います。一言でいうと「大中小×大中小」で整理できます。社内の仕事を可視化するヒントとなればと思います。
業務の階層構造
業務・作業の関係を整理し、俯瞰できる状態にすることを、体系化と呼んでいます。
当社では、マップと業務分析フォーマットで洗い出した業務・作業を、図のように3階層ずつ、2段階に分けて整理しています。
まず、一番大きな括りが事業区分、そこから業務区分、業務項目と、大・中・小の3段階で階層にします。
さらに業務項目を大分類として、そこから作業項目、基本処理と、さらに大・中・小の3階層を掘り下げます。
実はこれに加えて補助区分というのも設けていますが、ややこしくなるので、ここでは割愛します。
事務管理の場合、業務項目のレベルは、原則「複数の担当者が関わる業務」を目安としてください。このレベルで業務フロー図を作成します。
*職種ごとの固有業務(例えばモノづくりの仕事など)は、 ほぼ1人で複数の工程を行う場合が多いので、その場合は、分岐と判断を伴うひとまとまりの業務を業務項目とします。
業務項目が階層化の軸
業務の階層構造を整理する場合、この業務項目を軸として設定します。
階層の出発点をどこにするかは、 整理対象の業務のレベルによります。
例えば、事業区分からではなく業務区分からスタートすることもあります。
つまり、整理対象の業務を一番上の大分類としてそこから大中小と展開するのではなく、使わない分類はあけておくという考え方をとります。あくまでも業務項目のレベルを軸として、階層を設定してください。
業務マニュアルと作業マニュアル
業務マニュアルを作るときは、この2段階の大・中・小までの範囲(事業区分〜基本処理)を対象とします。
さらに1人の担当者が行う定型作業の手順を掘り下げることもあります。例えば図でいうと、登録の仕方、操作方法、申請方法などといったものです。これについては、別途作業マニュアルとして切り分けたうえで整理します。ここを分けて考えることが、業務マニュアルを作るうえでの1つの大きなポイントです。
将来を見越して
ある業務についてマニュアルを作ったら、他の業務についてもマニュアル化したくなるかもしれません。あるいは部門全体のマニュアルとして統合したくなるかもしれません。
業務は成長し変化しますので、水平あるいは垂直方向に広がることも想定しておく必要があります。
また、業務の構造そのものを見直す必要が生じることもあるでしょう。そのような場合でも、いったん整理された状態からであれば、その後の労力はかなり節約できます。途方にくれる辛い時間が削減できるということです。
どのレベルから業務マニュアルを作っても位置づけが把握しやすく、将来にわたって体系が乱れない、あるいは見直しがしやすいようにするために、当社では今回ご紹介した考え方をとっています。参考にしてください。
Youtubeでも関連情報を解説していますので、あわせてご覧ください
author:上村典子