1つの業務は複数の業務(または作業)が組み合わさって成り立っていますが、ここではその組み合わせパターンを「業務ユニットの類型」と呼ぶこととし、どのような類型があるかを紹介したいと思います。
業務ユニットの類型を知る
弊社では、業務ユニットの類型として、1.業務が順番に流れていく直列型、2.複数のバリエーションが存在する分岐型、3.ルーチンにのらない独立型、そして、4.これらの混合型があると考えています。
組織における業務は、こうした型を持つ業務が相互に連結して機能しています。体系とは、これらの業務ユニットの関連付けを一覧にしたものともいえます。
なお、業務は入れ子になっているので、ある型の業務は別の型を内包しているのが常です。
例えば、納品→売上→請求と並べると直列に見えますが、納品という業務自体には、在庫品を納品する場合やメーカーから直接納品する場合など、分岐型の業務が含まれることでしょう。その分岐型の業務の中にも、直列型の業務や独立型の業務は存在します。
つまり、業務をどの程度の深さで切るかによって、そのパターンは異なって見えるのです。そのため、業務ユニットの類型を考える場合は、同時に業務の階層を意識しておく必要があります。
1.直列型
時系列で発生する業務や、流れ作業など、業務が順番に連結しているのが直列型です。 フロー図で表現しやすい型でもあります。 PDCAサイクルのように旋を描く業務もこの直列型に含みます。
2.分岐型
場合分けの結果として発生する業務です。果たす機能は同じでも、処理のしかたにバリエーションが存在するイメージです。基本に対して例外が存在する場合や、特に基本はなく、条件に応じて並列的に処理を行う場合などがこの型に該当します。
3.独立型
独立しつつ他の業務と連携する業務です。直列や分岐の中にルーチンとして組み込まれずに、必要に応じて都度発生します。また、直列型の中で何度も繰り返し発生する業務や、複数業務に関係する業務については、あえて独立型として位置づけたほうが整理がつく場合があります。
4.混合型
(1)から(3)の混合型です。業務の単位がある程度大きい場合は、混合型になるのが普通です。
類型の混同はわかりにくさの一因
さて、業務マニュアルがわかりにくくなる要因の1つに、以上のような類型が整理されていないことがあります。
例えば、分岐型や独立型の業務ユニットを、直列的な業務の一工程として位置づけてしまうなどという場合です。
特に、直列型は多くの人にとってなじみやすいパターンでしょう。スタート地点から順番に並べていくというリニアな思考は、物事を理解するときの自然なスタイルだと思うからです。
しかし、直列でない業務を直列的にインプットしてしまうと、アウトプットの形もいびつになってしまいます。例えば、何でもかんでもフロー図にしてしまうとか......。
本人にとっては本人なりの順番が存在するのかもしれませんが、性質の違うものが直線で結ばれるのは、第三者にとってはわかりにくいものです。
業務の体系を整理するとき、 上記のような類型を念頭におくことで、 理解のフレームワークとしても表現の手法としても、役に立つのではないかと思います。
業務を整理するときだけでなく、マニュアルの構成を検討するときやフロー図を描こうとするときなども、ぜひ思い出してください。
author:上村典子