新入社員向けの「OJTマニュアルの目次サンプル」をご紹介します。
中堅社員と新入社員のOJTの違い
OJTといっても、中堅社員に対するOJTと新入社員に対するOJTとでは考え方が異なります。
中堅社員という場合、すでに実務担当者としては戦力となっていることが前提となります。その場合のOJTは、担当業務の拡大という方向と、高度化(専門化)という方向、そして行動のパフォーマンスを向上するためにコンピテンシーを伸ばす、という方向があります。 中堅社員向けのOJTマニュアルをまとめる場合は、大きくこの3つの方向を念頭におくとよいと思います。
いっぽう新人に対するOJTの場合は、知識・スキルとも白紙の状態であることを前提に、指導計画や指導方法を考えます。ゴールは「実務担当者として戦力になる」までであり、その指導方法としてはティーチングが中心になるでしょう。ある程度標準化しやすい(つまりマニュアル化することで一定の成果が得られやすい)領域と考えられます。
以下にご紹介するのはこの「新人を対象とするOJT」についてです。マニュアル化する場合に最低限盛り込みたい項目と解説のポイントをあげておきますので、社内で制作する場合の参考としていただければと思います。
OJTマニュアル 目次と解説のポイント(サンプル)
1.指導の心得
- 指導することの意味(会社にとって、新人にとって、自分にとって)と大切さ、 指導者としての心得。
2.OJT制度の全体像
- OJT制度の目的としくみについて。
- 育成計画表など、OJTで使用する帳票類について。
- 目標管理などの人事諸制度との関連と位置づけ。
- 年間のスケジュールについて(事前準備〜実施〜フォロー面談〜終了までの全体スケジュールと、日次、週次、月次のやるべきこと)。
3.OJT計画のつくり方
- OJT計画を立てる場合の注意事項、ゴールや節目の設け方、具体的な課題の設定方法について。
- 上司とのすり合わせ事項。新人の担当業務、期待レベル、能力開発の方向性、重点指導項目、進捗報告のタイミングや方法、指導者としての権限範囲の確認など。
- 自分の担当業務の整理(業務〜作業手順〜要素技能)と、新人の担当領域を設定する場合の考え方について。
- OJT計画のつくり方と考え方について。体験の順序とタイミングの組み立て方、状況に応じて柔軟に変更できるようにしておくためのコツ、禁止事項など。
4.指導を行う前の準備(基本知識・ノウハウの確認)
- 指導ツールの準備と作成方法。
- 指導場面における接し方や指導ステップ、レベルの確認、フォローの仕方について。
- 効果的なコミュニケーションや、理解を深めるための技法について。
- タイプやレベル、状況に応じた指導の考え方。
5.受け入れ準備と受け入れ当日
- 受け入れ当日までに整えるもの、整備しておくことのチェックリスト。
- 受け入れ当日の新人への対応のしかた、当日に説明・確認すべきことの準備。
- 新人との面談で説明すべきことや約束ごと。新人の知識や経験、能力のレベルの確認。
6.指導の実践
- 日常業務において、仕事を分担する場合の考え方、仕事の渡し方について。
- ひとまとまりの仕事、または非定型的な仕事を任せる場合の注意事項。
- P-D-S(Plan-Do-See)の各場面における対応の基本。指示・説明のしかた、途中経過における対応、一仕事を終えてからの振り返りなど。
- 新人自身、あるいは新人との関係、またはOJTの進捗などに問題が起こった場合の対応。
7.意欲を育む
- 成功体験を積むことの意味と注意事項の確認。成功体験のプロデュースのしかた。成功したときの対応など。
- ミス・失敗をしたときに確認すべき視点。指導者としての対応のしかた、やってはいけないこと。失敗を次に活かすための考え方など。
- 仕事に対する意味づけ、また本人の能力や成長にとっての意味づけなど。
8.フォローアップ
- 節目節目で確認すること。新人の習熟度や自分の指導のあり方についてのチェック。メンタル面のケアなど。
- 本人の到達レベルや適性などに応じて、残りのOJT期間の計画や課題を再検討する。
*以下も参考にしてください。
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*「OJTマニュアルの作成事例・実績」のページでもマニュアルサンプルをご紹介しています。
author:上村典子