前回からの流れで、改訂の進め方についてのポイントをご紹介したいと思います。
改訂の種類による分類
まず、一口に改訂と言ってもさまざまな程度があります。弊社では程度によって以下の3つに分けて考えています。
1.マイナー改訂(修正) | 誤植等の文字修正など、業務処理に影響のない修正 |
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2.メジャー改訂(内容変更) | 業務処理の内容(手順や処理基準)に関する追加・修正 |
3.改定(再構築) | マニュアルのコンセプトの変更。業務の根本的な変更など (※) |
*例えばマニュアルの構成を変える必要が生じたときやマニュアルの目的や対象者が変わったとき、組織と担当業務が再構築されたときなどは、改訂のレベルではなく作り直しが必要です。
改訂期間のとらえ方
改訂はリアルタイムで行えるわけではありません。一定期間が必要です。弊社では以下の3段階をもって一区切りの改訂期間ととらえています。
- 検討期間
- 改訂作業期間(作り込み・内容検証)
- メンテナンス期間
メジャー改訂を行ったら、それをリリースした後に一定のメンテナンス期間を設けておきます。そして、メンテナンス期間終了時に再度マイナー改訂を行うようにします。その後もまだ修正箇所は出てくるかもしれませんが、それは次回の改訂期間に検討すればよいでしょう。そうでないときりがありません。
改訂のタイミング
業務というのは、不定期に変わります。そうした場合、どのタイミングでマニュアルを改訂すべきでしょうか。
改訂は定期的に
改訂のスケジュールは、年間で計画化して定期的に見直しをかけることをお勧めします。
例えば、専任者がいない場合は1年に1回、専任者がいる場合は、四半期に1回などと決めて行うのがよいでしょう。半年に1回改訂されていれば、まぁまぁいいほうだと思います。 もし、それよりも短期で業務が変わる場合は、......業務そのものを見直した方がいいかもしれません。
また、改訂を計画する場合、組織変更の時期を考慮に入れる必要があります。
マニュアルのボリュームにもよりますが、改訂期間は少なくとも1カ月は要すると思ってください。ですから、もし例年3月に組織変更があり、4月1日から新体制になる場合は、改訂の検討開始時期を4月に設定したのでは遅いでしょう。また2月に設定したのでは、その改訂がムダになる恐れもあります。組織の年間スケジュールと合うように、改訂の時期を決めておくとよいでしょう。
都度改訂はだめなのか?
なお、Webマニュアルの場合は、業務の変更に伴って都度改訂することも可能です。しかし、都度改訂を行うことが必ずしも望ましいとは言えません。それは以下の理由からです。
資源の問題
都度改訂を継続していくためには、専任者が日々業務とマニュアルをチェックしている必要があります。改訂にそれだけの資源をかけるのか、という問題があります。
質の問題
都度改訂は、場当たり的な改訂になる可能性があります。1つの業務はいろいろな処理が関連してできあがっているものですから、1箇所変更しただけでは済まないことが多いのです。往々にして、他に影響のあるところが後からポロポロと出てくる場合が多く、いったん変更したものを元に戻したりさらに変更をかけたりといったロスも発生しがちです。
それよりは、いったんじっくり検討して、影響する部分をすべておさえてから改訂をかけるべきでしょう。
定着の問題
改訂のリリースを計画的に行っていくことで、社内での定着が進みます。都度改訂しても、毎日全員が見るわけではありません。それにあまりにも頻繁な改訂は重要視されなくなります(これは前回も書きましたが)。それよりも改訂の時期を決め、それを守っていくことで、マニュアルに意識が向けられるようになります。
さて、そうはいっても、急で重要な業務変更があった場合はどうしたらいいのか、次の改訂時期まではとても待てない、という場合もあるでしょう。長くなりましたので、その対処方法については次回ご紹介します。
author:上村典子