業務マニュアルには改訂がつきものです。印刷物の場合は、いったん作ったらそう簡単に改訂はできません。ただし、それだけにバージョン管理はやりやすいと言えます。
これらに比べると、Webマニュアルは改訂が手軽です。しかし手軽だからこそ、以下のことを念頭におく必要があります。
(以下は2001年時点の内容です。ご了承ください)
同じ環境で見ているとは限らない
まず社内で使用されているブラウザの種類、バージョンを確認する必要があります。
イントラネットの場合は、利用環境を社内で統一することが可能でしょうから、できるだけ統一しておくとよいでしょう。それができないのであれば、ブラウザの種類やバージョンにかかわらず正しく表示できるような、標準的な作り方をしなくてはいけません。
また、もし社内でブラウザを統一できたとしても、時間がたつにつれ差が生じてくるものです。マニュアルの制作スタッフは常にバージョンアップをしていたとしても、現場はそうとは限りませんので注意してください。
さらに通信環境も考慮にいれるべきでしょう。
本社は専用回線を使用しているが、拠点によっては遅い回線を使用しているとか、営業員はモバイルで見ているとか、日常的に回線のトラフィック量が多い、などという事情もあります。画像やアニメーションを多用してわかりやすく作ったつもりでも、表示が遅くてはストレスになるだけです。ブロードバンド化が進み、マニュアルの作りもだんだん凝りたくなってくるとは思いますが、現場での使用環境に十分配慮してください。
ブラウザで見ているとは限らない
必要なページを出力して見るという人は結構多いものです。
例えば価格一覧表など、都度参照する必要がある内容については、Webで探すよりも出力して手元に置いておいた方が便利な場合があります。
あるいは、帳票のダウンロードサービスを行っている場合、いちいちサイトからダウンロードするのが面倒なため、一度出力したものを何枚かコピーしておいて必要が生じたらコピーを使う、という場合もあります。そうしていると、業務内容や帳票に変更があってもそれに気付かないことになります。
目的のものが探しづらい設計になっていると、このようなケースがいっそう増えることになるでしょう。
そもそも見ていないかもしれない
印刷物の場合、できてしまったら修正がききません。ですから事前にそれなりの検討がされる場合が多いようです。この点、Webは後からいくらでも追加・修正ができるので気軽に作れます。これはWebの良さでもあります。
かと言って、中途半端な情報だけで"とりあえず"リリースするのはお勧めしません。最初に見たときに「あまり情報が載っていないし、どうせ役に立たない」と思ってしまったら、もう二度と見ようとしないだろうからです。
大事なのは、まず第一印象で「これは使える」とか「見なければ」と思ってもらうことです。さらに改訂時にも、「変わった」ということを認識してもらわなくてはなりません。
そこで改訂時には、Web上に新着情報や更新情報を載せるのはもちろん、メールや文書などでのアナウンスを行う必要があります。
ただし、それもあまりに頻繁になると、重要視されなくなる恐れがありますので、ほどほどの頻度にした方がよいでしょう。
上記では、社内のWebマニュアルを改訂をする上でとりあえず念頭に置いていただきたいことを挙げてみました。
また、Webマニュアルに限ったことではないのですが、改訂を進めるうえでのポイントがありますので、それについては次回(近々)、お話ししたいと思います。
*本当は改訂の話をする前にWebマニュアルの作り方について紹介すべきだったのだろうと思いますが、そこは商売のネタでもあるので(中途半端に)飛ばしました......。いずれ改めて書くかもしれません。
author:上村典子