ROEについて次の説明内容は理解できるのですが、実際に計算をしてみるとしっくりとした答えが算出できません。
簡単な計算例を記載した説明をお願いします。
* ROEとは株主資本利益率のことであり税引後利益を株主資本で割ったものをいう。
* ROE(株主資本利益率)=税引後当期純利益÷株主資本
* ROE=1株当り純利益/1株当り純資産
ROEの意味や計算式そのものはすでにご理解されているということですので、計算例をあげたご説明をさせていただきます。
期末時点での決算が以下のとおりだったとします。
<期末>
[ P/L ] |
売上高 400 |
当期純利益 10 |
[ B/S ] | |
総資産 200 | 負債 120 |
自己資本 80 |
ROEの計算式にそのまま当てはめますと次のようになります。
ROE =10/80×100=12.5%
ところが、上記の当期純利益が期間中の利益なのに対し、自己資本は期末の1時点の状態を表す額となっています。自己資本の方も期間中の平均資本を用いないと正確な数字にはなりません。
そこで、期首の資本状況をみると次のとおりだったとします。
<期首>
[ B/S ] | |
総資産 160 | 負債 90 |
自己資本 70 |
平均資本を期首と期末の平均として計算すると次のようになります。
ROE =10/{(70+80)×1/2}×100 ≒ 13.3%
ご質問のもう1つの式は、当期純利益と平均自己資本をそれぞれ発行株式数で割って、1株当たりの数字に直して計算した式ですが、分母と分子を 同じ数字で割っても答えは同じになりますので、ROEは同じく約13.3%となります。
ご質問の中で「しっくりとした答えが算出しづらい」と書かれていましたのは、平均資本を用いるという部分ではないかと推測します。
何かの期末の決算資料にROEが出ていた場合、資本がらみの指標は、通常平均資本で計算されているはずですので、単純に期末の資本を用いて計算しても答が
合わなかったのかもしれません。
上記の例をみると、期首と期末で総資本が160から200に膨らんでいます。自己資本の増加分は当期純利益に相当する10で、残りの30が負
債の増加となっています。
これは、期中により多くの運転資金が必要になってきた分を、増資でなく負債によってまかなったことを表しています。
もし、その30を負債でなく増資していたとしたら、平均資本が(70+110)/2=90となりますので、ROEは11.1%となります。
これを期末の自己資本で計算してしまうとROE=9.1%となってしまい、実態との乖離がより大きくなってしまいます。
それを防止するために、通常は平均資本を用いるのが通例となっているようです。
以上、ご質問の意図を想定しながら解説させていただきました。
☆参考→ビジネス基本 用語集 「ROE」