間接部門における個人目標には、どのようなものがありますか?
目標管理制度を導入されている場合、それぞれの企業の制度の中で「目標として掲げていい項目」の範囲が規定されている場合があります。 そのため、以下に記述します内容は、貴社の制度では不可となっているかもしれませんが、弊社なりの見解を述べさせていただきます。
多くの企業の目標管理制度では、「定常業務に関する目標は不可」「改善課題が重点的なものだけ」「数値化できるものだけ」
というケースが少なくありません。 このこと自体は1つの考え方として悪くはないのですが、目標の達成度評価が業績評価と連動している場合、
多くの矛盾が発生してしまいます。
例えば間接部門において、定型的な事務作業を中心に担当している人がいるとします。
その人が上記の制約の中で目標を設定しようとすると、半年や1年の目標としてはなかなか適切なものが見つからないようです。
よく目にしますのが、「○○帳票を改定する」「○○書類のファイリングを変更する」「○○作業をマニュアル化する」などです。
もちろん、これらは作業量が非常に多くなる目標や、他部門調整や仕事自体の整理が必要な難しい目標である場合もありますが、
中には数時間とか数日でやれてしまうような目標だけが無理やり掲げられてしまっている場合もあります。
それでも企業にとっては、定常業務を普通にやっているだけより、 どんなに小さくても改善してくれたほうがプラスとなることは確かです。
しかし、その人の業績評価となるとそれでOKとはいきません。 90パーセント以上の時間を割いて毎日地道にやっている仕事が評価対象とならず、
やってもやらなくても会社全体ではあまり影響がないような仕事が評価対象になってしまうという矛盾が発生するためです。
また定常業務を多く抱えている場合、改善課題ができるかどうかはその期間中の業務量に左右されてしまいます。
業務量が比較的少なかった場合には改善課題にも取り組むことができますが、
業務量が増えずっと多忙を極めた場合には改善課題に着手することすらできないかもしれません。
そうなると、もし改善課題しか目標に掲げることが許されない(評価されない)としたら、
暇だった人の評価が高くなり、大量な業務をこなした人の評価が低くなってしまいます。 それでも改善課題をやったほうが価値が高いという人もいますが、
忙しいときに定常業務と改善とどちらを優先したかを考えれば、仕事としてどちらが重要だったかは明らかです。
そこで弊社では、「担当している仕事の中で最も主要な業務を中心に目標を掲げてください」 という見解を提示させていただいています。
本人が今期は頑張ったな、よく仕事したなと感じたときに、高く評価をしてあげることができるようにするためです。
またそのほうが評価に対する納得性も高くなり、仕事への意欲にも結びつきますので、結局は会社にとってもプラスになるからです。
間接部門で定常業務を中心に担当しているのであれば、その定常業務を中心に目標をつくっていきます。
その場合の目標の表現方法には少し工夫がいりますので、場合によっては帳票設計から見直しが必要になることもありますが、
主な項目としては次のようになります。
まず、担当している業務を明記します。そしてその業務について、業務量、正確性やミスの程度、スピードや期日厳守、関係者との協調度
や満足度などを表す項目を取り上げます。 そして今期のその仕事の進め方の程度を目標値として記入します。
以上、間接部門の個人目標について、定常業務を担当している場合を中心に回答させていただきました。 間接部門でも、もし企画系や開発系の仕事の場合なら、その期間の課題を中心に目標設定ができるはずだと思います。 また、改善を重視する企業の場合などは、定常業務の目標と改善課題に関する目標の両方を掲げるなどのルール化をするのも有効です。 この場合、制度変更を伴うことになりますが、弊社の場合、基本的な業務に関する目標と重点課題に関する目標を、 ウエイトで50% VS 50%で記入できるようにしてやる方法を推奨しています。
*間接部門の目標シートのサンプルについては、「業績評価シート」をご参照ください。