マネジメント系用語一覧
| ビジネス基本用語集 |
一般的にも頻繁に使われる概念ですが、混乱を避けるために、ナビゲートでは以下のように整理しました。
<マネジメント系用語整理の考え方について ▼詳細は下欄へ>
使命
- 組織に対して使用。
- その組織(部署)の基本目的、設置目的、存在理由。
- 組織(部署)が担っているものの総称、最上位概念。
役割
- 個人に対して使用。
- 周囲から寄せられるさまざまな期待(役割期待)に対する対応行動(役割行動)。
- 役割期待には、その地位(ポスト)に対して寄せられる期待と状況に応じてその人個人に対して寄せられる期待がある。
- 前者に対応する役割を構造的な役割(公式の役割)、後者に対する役割を状況に応じた役割と位置づける。
- 役割認識という場合は、構造的な役割の理解と受容をさす場合が多く、役割形成という場合は状況に応じた役割をどのように選択するか、ということをさす場合が多い。
- 管理者の役割は、担当部署の使命を果たすための具体的行動全般とする。
責任
- 組織と個人の両方に使用されるが、主に個人に帰属させる。
- 組織の責任は「使命」に対応する業務の遂行、もしくは業務目標を達成すること。
- 概念的には遂行責任(responsibility)と成果達成の責任(Accountability)がある。
- 組織管理者の中心的責任は、担当部署の責任と一致。
- 同時に、その組織の使命(責任)を果たすために配分されている資源の管理責任、社会的倫理的責任を担う。
- さらに、関係者からの期待に対応していくことへと責任が拡大していく(境界はあいまい)。
- どこまでを自分の責任と捉えるかは、本人が受け入れた役割に対応してしまうため、役割形成の仕方が重要となる。
権限
- 主に個人に対して使用。
- 責任を果たすために必要な資源の決裁可能な範囲。
- 通常、組織管理者の場合、責任に対し資源が不足した状態にある。
- この不足した部分を補うために必要となるのが問題解決となる。
- 中でも中間管理職の場合は、人という資源の活用・拡大(育成)が重要テーマとなる。
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問題
- 状態をさす概念。
- 通常、基準と現状に差が生じた状態。
- 例えば、果たすべき成果(責任)と活用できる資源(権限)に差があること。
- 基準を高く設定するか低く設定するか、および現状を甘く見るか厳しく見るかによって問題の捉え方に差が生じてしまう。
- 問題は複合的な要因が相互に関連し合っていることが多い。
- そのため、どの要因に対して対策を打つべきかの選択が重要となる。
- また、要因の中には普通に考えると解決できないもの(権限範囲を超えるもの)が多い。
- そのため、解決できないものを解決できるように変換する創造性が管理者に求められる。
課題
- 活動の方向性をさす概念。
- 問題状況の中から、対策を打つターゲット(要因)を選択し、その対策を定めたもの。
- その要因を潰せば、基準と現状の差を埋めることができる活動。
- 表現方法としては、「何々(要因)に対し、何々する(活動内容)」という行動表現を用いる。
目標
- 状態をさす概念。
- マネジメントでは、ある活動の方向に対し、一定期間後に実現すべき状態を定めたもの。
- 目標はそれぞれの段階に存在し、例えば大きな方針に対し目標があり、その目標と現状の差を埋めるための課題に対しても目標が存在する。
職場
- 組織のさまざまな単位を総称する概念。
- 会社、事業所、部、課、係などのそれぞれの単位で用いられる。
- 仕事をする場所の意だが、その空間だけでなく、部署や部署の構成員を含めた概念となっている。
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職場設計
- 職場の使命を果たす(成果を実現する)ために資源配分の最適化を図ること。
- 主に職場メンバーへの役割配分を決定することを意味している。
人材
- 組織の構成員を組織の目的を果たすための資源の1つとして捉えたもの。
- 組織活動の最小単位であり、能力の総体。
- 人材は、組織の中でその保有している能力を発揮して役割を遂行する。
- ただし根底には、その人本来の資質、価値観、パーソナリティなどがある。
能力
- 何かを行う(成し遂げる)力。
- 個別具体的な知識、技能、態度など(KASOs)のレベルと、ある状況のなかでそれらを複合的に用いて成果を実現する力(コンピタンス、コンピテンシー)というレベルがある。
- また教育の対象力域としては、認知的領域、精神運動的領域、情意的領域に区分できるが、産業教育ではこれを知識、技能、態度と定義されていた。
学習
- 学習者1主体における行為概念。
- 何らかの刺激や経験によって、新たな能力を獲得すること。
- また、能力を獲得したことによって行動や態度が変容すること。
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成長
- 1主体の変化(状態)を表す概念。
- 学習により、望ましい方向への行動変容や態度変容が確認できること。
- 経営においては、成果実現への期待値が上がること。
教育
- 学習者と教育者という2主体間の関係概念。
- 学習者の学習が促進されるように第三者が働きかけを行うこと、またその関係。
- 直接的な教授、指導だけでなく、投げ掛けや問い掛け、方向の示唆、励まし、機会提供、評価やフィードバックなどの多様な手段を含む。
- 対象者と対象能力の状態により、有効な手段を選択することが重要となる。
人材育成(人材開発)
- (公益事業を含む)経営活動における手段。
- 経営成果をあげるための資源である人材の成長を図ること。
- 人材育成により資源の質・量が向上すれば、成果実現の可能性が高まる(不確実性が減少する)。
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<マネジメント系用語整理の考え方について>
ここに掲載されている用語は、マネジメント教育でよく使われる用語ですが、もともとは一般的にも頻繁に使われる『一般用語』です。 そのためか幅広い概念で使用されたり、場面によって概念が変わってしまい、 学習者に混乱を招きやすい用語となっていたものです。 そこで、そのような混乱を回避するために、 マネジメント教育の教材や研修においては、できるだけ用法を限定し、 統一的な使い方ができるようにしようという目的で、ここに整理をしてみました。
たとえばここでは、“使命”は「組織に対して使用」、 “役割”は「個人に対して使用」と限定しています。 しかし、「組織の“役割”」「個人の“使命”」と使っても何ら問題はありませんし、 それを制約するものではありません。 ただ、ある場面で「組織や個人の役割」と言い、 別の場面で「その“役割”を果たすため」と使うと、一瞬、戸惑いが生じてしまいます。 そこで“役割”と言えば個人についての話としていれば理解がいくらかでも スムーズになるだろうという意図を込めています。
ナビゲートのサイト、教材、研修、講師陣の講義などでも、 まだ統一した使用ができているわけではありませんが、今後、定義の改善も進めながら、 よりわかりやすい言葉の使用ができるように努めていきます。
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