私は機械の組立てをする会社の新入社員で、設計と製造の支援をしています。 上司から、製造現場を毎日1枚ずつ同じ位置から写真撮影をして、そこから見える物の流れや、うまく物が流れないことによるコストロス、 問題点などを見つけ出すように言われました。
1カ月半撮影しましたが、わかりやすいように数値化するなど良いまとめ方はありますか? (製造 生産技術部)
少し難しいご質問ですので、明快なコメントはしかねますが、思いつく範囲で以下に記述させていただきます。
まず、ご質問内容を整理させていただきますと、
1)会社は、主に機械の組み立てを行なっている。
2)上司から製造現場の写真を毎日1枚ずつ同じ位置から撮影するよう指示された。
3)それに現われた問題点を見つけ出すという課題が与えられた。
4)1カ月半、撮影したものをまとめようとしている。
5)わかりやすいように数値化して提出したい。
6)何か良いアイデアがあれば知りたい。
おおむね、以上かと思います。
いくらか焦点があったコメントをさせていただくには、もう少し詳細の情報を教えていただきたい項目もあるのですが、とりあえずは、ご提供いただいた情報の
範囲でコメントさせていただこうと思います。
さしあたってのポイントは、以下の4点かと思います。
a)写真から知りうる(判断しうる)問題の範囲は何か。
b)写真に納まっている範囲に関して、正常な状態(基準、あるべき姿)が定義できるか。また正常でない状態の写 真を選択可能か。
c)こういう問題が起きているのではないか。また、その問題が起きているとしたら、写真にこういう現象が現われ ているのではないかという仮説があるか。
d)先入観なく全ての写真を眺めたとき、何か変化に気付くか。
まず、a)についてですが、1つは写真に納まる空間的範囲という観点があります。
当然のことですが、写真に納まらない空間の問題は、
その写真からは知りうることができません。ただし、毎日の撮影個所(定点観測している数)が複数あるとすると、
撮影されてない空間の問題まで推測することが可能となるかもしれません。また、1日1枚の写真ですと、「たまたまそのときその写真に納まった/納まらな
かった現象」に対する判断は難しいかもしれません。
例えば、移動を伴う人の作業は、この調査から判断するのは難しいと思いますし、'モノ'の流れ(例えば製品工程)に関しても、判断しづらい部分が大きいか
もしれません。(人やモノの動きを捉えるには、ビデオか、もっと短い間隔での写真撮影/観察のほうが向いていると思います)
次にb)についてですが、例えば写真の撮影個所がライン周辺だとしますと、その写真に写っている所で、以下のような点に関する基準が明確 になっているかどうか、という意味です。
正常な状態(基準)が明確であれば、それを逸脱した状態が「問題」と判定することができます。
上記のモノが仕掛かり品であれば、ラインに滞留ができていることを意味しますので、ラインバランスが悪いか、下流の工程でトラブルが発生しているかなどの
問題が推測できます。
設備の交換部品や治工具類であれば、5Sの状態が悪いか、段取りや型替えなどの作業手順が悪いかなどに結びつけることができるかもしれません。
数値化したいということでしたら、逸脱しているモノの種類や量などを掛け合わせて点数化することが可能かもしれません。
c)は「仮説検証法」というものの考え方ですが、この場合、写真撮影の仕方も定点観測をするだけでなく、仮説を立てた問題を'探して'撮影 しておかないと問題を写真に納めるのは難しいかもしれません。
d)は、b)が正常値(基準)との絶対比較をしているのに対し、1カ月半分の写真の中での相対比較になります。他の写真との「違い」に 着目してそこから問題を発見しようという方法です。
ざっくり、着眼点は以上のようなところかと思いますが、数値化については、どんなものを作っている工場か、どの程度自動化が進んでいるか、どういう撮影の
仕方をしているか、その写真に何が写っているかなどがわかりませんので、適切なアドバイスをさせていただくことができません。
まず、ご自分なりに指針を作ってみるのが有効かもしれません。
例えば、
単純に、異常写真の枚数、全体枚数に対する異常の比率
「滞留」(流れるべきものが止まっている状態)であれば
「放置」(あってはならないものが置かれている)であれば、
妥当かどうかは別にして、いくつか思いつくものがあるかもしれません。
まずは良い結果が得られるかどうかは二の次にして、トライしてみることが肝心かと思います。