当社では、OJT制度をはじめて導入します。
これまで、新人を採用しても特別なことはやっておらず、みんな指導経験がないのですが、OJTリーダーは誰を指名しても大丈夫でしょうか?
新入社員のOJT制度の導入初年度は、年齢や経験年数に縛られずに「熱心に指導してくれる人」が望ましいと考えます。ただ、そういってしまうと基準が難しいこともあり、弊社では、新人の配属部署で所属長に次ぐ「No.2かNo.3の人」を1つの目安として推奨しています。
これは複数の企業でOJT制度の導入を支援してきた経験によるものですが、導入初期には若手がOJTリーダーをやるより、中堅以上で力のある人がやったほうが、しくみが定着することが多いためです。
OJT制度をはじめて導入する場合、まず新人に教える必要のある項目(指導項目)を洗い出すことからはじめなければなりません。弊社では、この洗い出しの作業を「指導項目の洗い出し」、洗い出されたシートを『指導項目リスト』とよんでいます。
「指導項目の洗い出し」は、新人に教える項目を洗い出すだけなので誰でもできそうなものですが、やってみると、案外仕事への知見や力量が問われる作業となります。しかし、部署ごとに一旦『指導項目リスト』にまとめてしまうと、次回からは流用して使えます。
そこで、導入初年度は、部署の仕事に関する知見も豊富で、新人が育つ過程も何人か見てきているベテランの社員に作ってもらうのが効果的というのが、部署の「No.2かNo.3の人」を推奨する理由の1つです。
もう1つの理由は、OJTリーダーにかかるストレスを軽減することにあります。
通常、OJTリーダーを担当すると、大きく次の3つのストレスがかかると考えられます。
1)新人を指導すること自体のストレス
2)指導に時間を奪われる中で、自分の仕事をやり繰りしなくてはならないことへのストレス
3)他の職場メンバーとの関係によって生じるストレス
上記のうち、1)と2)は、ある程度は避けることができないストレスですが、3)は不必要なストレスといえます。
ところが、OJTリーダーに悩みをあげてもらうと、「周囲の協力が得られない」「自分が不在時に誰も見てくれない」「新人がミスしたときに自分が責められる」などといった意見が多数あがります。なかには「自分が教えたことを他の先輩が否定してしまった」「ふだん以上に仕事を押し付けられるようになった」「仕事の成果を厳しく問われ、新人の目の前で叱責された」など、OJTの妨害行為と思えるようなことを経験する人もいます。
こうした心無い行為はその人の人間性の問題でもありますが、自分が経験したことで配慮が働かないことや、それを後輩がやっていることでわずかな嫉妬心が引き金になっていることも想定されます。
こうした不必要なストレスは、OJTリーダーが部署の「No.2かNo.3の人」のときにはあまり生じません。そこで、まず最初に「No.2かNo.3の人」にやらせておくと、無理なく制度を定着させるという点でプラスになります。
「No.2かNo.3の人」であれば、個々の指導項目の指導を他の職場メンバーに割り振ることも遠慮がありません。導入初年度に、みんなで分担して教える体制を経験すれば、それが職場のスタイルとなり、次年度以降は若いOJTリーダーでもあたり前のように割り振りができるようになります。
また「No.2かNo.3の人」がOJTリーダーを経験していれば、どのくらいの負荷がかかるかなどの想像がつきますので、OJTリーダーへの協力姿勢も生まれ、非協力的なメンバーへの牽制が働くようになります。
多くの企業における新入社員のOJT制度では、「共に成長する」というキーワードを掲げ、「新人の育成とOJTリーダーの成長」を目的に掲げています。この目的に合致する人となると、比較的若い層(弊社の提示している目安は入社4年目から7年目あたり)となるのですが、OJTが機能し、制度が定着しないとこうした効果も生まれてきません。
そこで、導入初年度はまず制度を定着させることをねらおうというのが、部署の「No.2かNo.3の人」を推奨している理由です。
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