人事部門で課長をしています。
今年度より会社の方針で、課長が全ての部下に対しOJTを行うことになりました。そこで人材開発部門で外部講師を招き、課長への研修を実施したのですが、研修に参加した各課長から不満が噴出しました。
研修講師が解説したOJT計画書のフォーマットが面倒だったこともあり、私自身、部下は6人で特別多いほうではないのですが、それでも6名の部下に対して計画書を作成し管理するのは、時間もかかり現実的ではないような気がします。
研修講師は「他社ではこのくらいの計画書は作っているし、時間がないというのは言い訳だ」とおっしゃるのですが、私は主催者側でもあり、だんだん疑問に感じはじめました。
他社では実際にどの程度のOJTをやっているのでしょうか?
また、今回の取り組みは、推し進めたほうがいいのでしょうか。
他社でも、課長クラスが部下全員に対してOJTを行うことになっているのは、めずらしくはありません。ただし、OJTの中身については、無理なく実施できるよう工夫されています。
研修講師が解説したOJT計画書のフォーマットは、記入欄も多くロジカルなものではないかと想定します。そうした書式を導入する企業があることは確かですが、実際にきちんと定着し継続している例は、導入間もない企業を除いては1社も知りません。
物理的にも現実的ではありませんし、効果もあまり生まないと思います。
とは言え、一旦出した方針を引き下げたり、導入を延期するのは得策ではありません。方針を降ろしてしまうと切り直しが困難になりますし、延期すると半年から1年がムダになってしまうためです。
そこで、頂いた情報を前提に、今年度の対応策についての弊社なりのご提案を記述します。
1.「課長がすべての部下に対しOJTを行う」という方針は堅持し、今年度から実施する。
2.指定の書式は、次の一覧表の1枚とする。
3.一覧表の記入欄は、「1)部下名」「2)今期の指導ポイント」「3)指導状況と結果」の3つとする。
4.期首に配付し、1)と 2)を記入して提出させ、期末に 3)を記入して再提出させる。
5.研修で解説した計画書フォーマットは、部下のうち1名分のみ義務づけ、同様に提出させる。
6.次年度にかけて、課長が行うOJTについて、しくみの見直しを行う。
この方法であれば、研修講師が解説したフォーマットで全ての部下の分を作成するということ以外、ここまで出てきた方針と矛盾もなく、実施した研修もムダにならずに済みます。
その代わり、暫定的な対応でもあり、予測ですがOJT計画書のフォーマットもあまり良いものではないではないかと思われますので、次年度以降の進め方については再検討すべきかと考えます。
一般的にも、管理者は全ての部下にOJTを行うべきとされますが、必ずしも一律の方法でやるのが前提ではありません。新入社員とベテランの部下とでは、OJTの必要性の程度も方法も違って当然です。
また、全ての部下に均等に力を割くこともできませんので、メリハリをつけたり重点化したり、ときにはOJTの代行者を任命したりして、限られた時間の中で成果が大きくなるような工夫を行います。
上述した対応策は、そうしたメリハリのついたOJT完成形とも整合するような対応策となっています。
書いて残せる「OJT実践ノート」新人を育てる確かな方法があります。
新人の成長を記録し、OJTを活性化させる「OJT新人ノート」
OJT実践ノートの概要を動画で解説します。(約3分半)
お客さまの状況にあわせて、ゼロからマニュアルやツールを作成します。