弊社に来ている教育機関の営業の人が「OJTはもう古い」と言っていたのですが、どのようなところが古いのでしょうか?
一般的なOJTの定義の中には、「意図的、計画的、重点的に」「マンツーマンで」というキーワードが含まれています。
この定義は、OJTの進め方とも強く結びついています。
オーソドックスなOJTでは、まず対象者の現有能力を分析し、育成対象とする能力を絞り込みます。
そして、その能力についてどこまで伸ばしたいかという目標レベルと、現状のレベルを明らかにします。
そしてギャップを埋めるためにどのようなトレーニングが必要かを考え、それを一定期間内にスケジュール化していきます。 そうしてできあがったOJT計画書に基づき、指導を進めていく方法です。
このような指導育成の方法は、対象能力を明確にしやすい作業系・技能系の職場では非常に有効でした。
ところが技術が進歩し、作業系の職務より事務系、企画系の職務が増え、仕事の専門化や複雑化が進むようになると、
このようなOJTの手法がうまく展開しづらい状況が現れました。
能力の分析が難しかったり、有効な育成手段が思い当たらなかったりするためです。
また、特定の職務については指導される部下の方が指導する上司より専門性が高いという状況や、 パソコンに向かって仕事していると部下の仕事の状況や能力レベルが把握しづらいという状況も生まれてきました。
そのため、従来のOJTの方法論とは異なる育成方法の必要性が叫ばれるようになりました。 そうして一時期はOJxのような類似の言葉が氾濫し、非常に混乱していた時期もあります。
また最近では、何かを教え込むというより本人がもともと持っている能力を引きだしてやろうという、 コーチングに代表される手法が注目を集めるようになってきたこともあり、従来型のOJTは「もう古い」と言う人も出てきたようです。
しかしながら、従来型のOJTの定義と手法だけでは十分対応できない職場が多くなってきたことは事実ですが、 決してそういう職務がなくなったわけではありませんし、有効性が失われたわけではありません。
今日、作業系の職場では多能工化、多技能総合化が重要となり、一般の職場も含めて外部戦力の活用が進んでいることを考えると、 むしろ従来型のOJTの必要性は増していると言えると思います。
一方「OJTはもう古い」という意味は、OJTを広義に捉え、職場内で指導育成をするのはもう古い、という主旨の発言かもしれません。
実際に、成果主義の人事制度を導入した企業の中には、能力開発は自己責任とし、 会社での指導育成は行わないという企業が出てきているのも事実です。
しかしこれは思想の問題であったり、人事制度の設計上の問題であり、OJT(職場における指導育成) が古い考え方だという論拠にはならないと思います。
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