BCP研修を実施しました
令和6年能登半島地震で被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。
被災地の皆さまのご安全と、そして一日も早い復興をお祈り申し上げます。
昨年末に、ある製薬メーカーさまからご依頼を受け、主力工場の『BCP研修』を実施させていただきました。
『BCP』とは「Business Continuity Plan」の略で、企業が自然災害等に見舞われた場合に備えて、中核となる事業の継続、あるいは早期復旧を実現するための事業継続計画です。
中小企業庁ホームページの「中小企業BCP策定運用指針」にはBCPの特徴として以下が示されています。
①優先して継続・復旧すべき中核事業を特定する
②緊急時における中核事業の目標復旧時間を定めておく
③緊急時に提供できるサービスのレベルについて顧客と予め協議しておく
④事業拠点や生産設備、仕入品調達等の代替策を用意しておく
⑤全ての従業員と事業継続についてコニュニケーションを図っておく
すでにBCPを策定されている企業も多いかとは思いますが、一部のスタッフのみで策定され、特に⑤のような従業員への周知や訓練が実施されていないという話もよく聞かれます。
今回、ご依頼の研修では、現場の管理職の方達を中心に、あらためてBCPの基礎を学ぶとともに、自社工場が地震に被災し、BCPが発動されたと想定されてからの24時間をシュミレーションするワークショップも実施しました。
講師は、元消防士で防災士等の資格を持つ、髙木敏行氏。
髙木講師は、九州北部豪雨災害や熊本地震等の災害応援経験がある防災の専門家です。
机上のBCPにとどまらず、発災時に起こりうるリアルな事例や課題についてもあわせて伝えていただきました。
『知識から備蓄する』という髙木講師の言葉のとおり、誰もが「理解ある協力者」となるためには、知らないことを減らすことが必要です。まずはBCPに関する基礎知識を再確認しつつ、災害関連死のリスクや防止策などについて学習していきます。
その上で、実際に工場が被災してからの24時間を時系列で追いながら、起こりうる課題や対応について意見交換をしていきました。
特に考えさせられたのは、水や電気、通信手段といったインフラがない状況での対応についてです。ともすると、研修時点の条件でどう対応するかを考えてしまいがちですが、BCPが発動されている状況下は、より深刻なものとなっている可能性もあります。
災害対策は最悪の状況を想定し、「組織としてできること、できないこと」を把握することがとても重要です。2024年4月からすべての介護施設においてもBCPの策定が義務付けられるなど、各業界でますますBCPの重要性が高まっています。研修を通して、自分自身も考えさせられる機会となりました。
最後に、現在も厳しい寒さの中で不自由な避難生活を余儀なくされている皆さまが、一日でも早く日常を取り戻せることを願わずにはいられません。そして、復旧、復興支援等の活動にご尽力されている方々にも深く敬意を表します。
BCP研修の様子です。 |