旅のはじまり
2008年の夏は、私にとって特別忘れられない夏になりそうです。
この夏から身を置いた環境を、長い旅の「出発点」と考えたからです。
これまでの自分を振り返ると、これまでもいくつもの出発点があったことに気づきます。
小学校、中学校......多くの人と同じ場所を出発点として迎えた学生時代という旅。それぞれ別の場所へ向かって旅立った社会人の旅。 目的地まで行けた旅もあれば、思いもしない場所へたどり着いたこともありました。
おととし、引退した元日本代表のサッカー選手がこんな言葉で引退を公表しました。
"人生とは旅であり、旅とは人生である"
?1985年12月1日 - 2006年6月22日?
彼が、「サッカー」という旅をはじめた出発点は"1985年12月1日"8歳の冬だそうです。それから20年の月日が経ち、"2006年6月22日"30歳の夏、異国の地、ドイツで涙とともにその旅は終わりました。
プロサッカー選手として世間の注目を集めるようになった20歳の頃、彼は、サッカーは仕事であり、年俸制というサラリー形態の違いや額面上の数字に大小の差はあるけれど、一般のサラリーマンと変わらない、というようなことをある対談で語っていました。
仕事としてスポーツ選手を選択し、自らが置かれている立場を冷静に現実的に捉えていました。
多くの少年が憧れるスポーツ選手としては、少し冷めた感じに聞こえる発言ではあるけれど、当時はそんな発言をするスポーツ選手も少なく、彼の言動には毎度のように賛否両論の声が集まったのを思い出します。
私はサッカー選手としてではなく、同世代の男として彼の言動や行動に興味を抱き、メディアが伝える移籍情報、スポーツと離れた業界との交流 の記事や報道を追いかけていました。
2006年の夏にサッカー選手を引退した後は、世界中を飛び回り新たな自分の旅を探す傍ら、某菓子メーカーの最高ブランド責任者として、執行役員に名を連ねています。
次に彼がどんな旅を始めるのかとても楽しみです。
サッカーと過ごし積み重ねてきた年月を旅と例えた彼に比べると、華やかでもなくスケールも大きくありませんが、私も新しい環境に身を置き、これから積み重ねていく年月を旅として例え、出発点となったこの夏を「旅のはじまり」としました。
夏真っ盛りのころ出発したこの旅も、あっと言うまに一カ月が経ちました。時間が進む感覚はとても早いのですが、自分の歩みはとても遅く感じてしまいます。今の自分にはできないこと、知らないことも多く、歯痒さと悔しさが混ざったような毎日を送っています。それでも、帰宅して部屋のドアをあけて最初に思うことは、「やるしかない」「楽しいな」と前に進む思いが先行してくれます。
長い旅には、出会いや楽しいことばかりではなく、困難や辛いこと、想定外の出来事も多々起こるでしょう。だからこそ、乗り越える知識と経験を身につけるため、日々を大切にしようと感じています。
私は、この旅の目的地を遥か遠くに設定しました。目的地までの最短距離はなく早くたどり着く道具も術も持ち合わせていません。
まずは近くにある目標という経由地を目指して、焦らず、着実に進んで行こうと思っています。
海外も国内も旅にはいつもこのリュック。 | 旅の舞台は地球。 |